【400文字作文】雨と傘と浸食と染色とYシャツと私。

雨が降っている。雨は嫌いじゃないけど、
窓が汚れるのは嫌だなと思う。
風は無いようだ。黄色やオレンジの傘を開
いた子供たちがその傘を回しながら歩いてい
る。急に走り出し、わざと傘の内側に風を招
き、うわぁ、と楽しそうな悲鳴をあげ遊んで
いる。
近所の家で雑に育てられている庭木の緑は
いつもより深く、美しく見えた。姿を見せな
い鳥達は雨粒が痛くて苛立っているのか、ヒ
ステリックな声で鳴いていた。
雨が降ると人も植物も動物も窓も傘もアス
ファルトも動いているように見える。雨粒は
上から下へ伝い、どこかへ着地すると生き物
のように広がり、染みていくからだろうか。
雨粒が夏の虫みたいに時折、窓にへばり付
く。その窓から外を眺め、そこでただ地味な
傘を持ち、じっと立っている私を想像してみ
た。雨は私にも染みてくるだろうか、それと
も、私の何かを削ってくれるだろうか。
