【400文字作文】軽快な平凡 | 【400文字作文】下半身は地球を救う。

【400文字作文】軽快な平凡

 錆びが浮いた柵に囲まれた線路沿いを歩い
ていると向かい側から、どんなに忍び足をし
ても足音が鳴ってしまう、気の毒な太っちょ
のように電車がやってきた。これでも気を遣
ってるんですけど、どうしても…と申し訳な
さそうにブレーキの音を鳴らしながら。
 本当に気の毒な奴だなと思いながら私はそ
の電車の後ろ姿を目で追った。決まったポイ
ントを数メートル行き過ぎるとやあやあ言わ
れ、時間に遅れて到着するとなじられ、その
くせ決まった時間に決まった場所へ到着し続
けると、敷かれたレールに乗っかってるだけ
の人生は送りたくないと、退屈と往復の代表
的存在に扱われる。
 この気の毒な電車は産まれ変わったらスリ
ムになって新幹線になりたいと願っているだ
ろうか。そのままの姿で違う路線を走ってみ
たいと願っているだろうか。
 小さな踏切を、太った猫が小走りに渡って
いった。とても軽快に。