【400文字作文】靴下売りの醜女 | 【400文字作文】下半身は地球を救う。

【400文字作文】靴下売りの醜女

 恵まれない子供たちへの募金にご協力お願
いしますと、ひどく痩せた女が信号が青にな
るのを待っている私に声をかけてきた。身長
は低く肌には砂漠に雲が影をおとしたような
まばらなシミがあるし、目は明らかにとんで
いる。この女に、いい守護霊をお持ちですね、
と言われても私は驚かないだろうなと思った。
そういう言葉が似合いそうだし、その女その
ものが守護霊になりきれなかった亡霊のよう
でもあったからだ。
 女は、貧困に喘ぐ子供たちの現状をオルガ
ンのように平坦な声で私に唱えだした。その
声の抑揚は明らかに無関心な表情をしている
私を非難していた。
 女は三足の靴下を私に見せ、5000円を求
めてきた。要求は滅茶苦茶だが表情は真剣だ
った。女は醜かったが、手だけが異様に白く
美しかった。この女は、その金が本当に子供
たちの手に渡ると信じているのかもしれない。
そう思った時、信号が青に変わった。