直視できないほど傷だらけの野良犬
マサチューセッツ州のブロックトン動物管理局に、街中を野良犬が歩いていると通報が入り、早速保護に向かいます。
そこでスタッフが目にしたのは、これまでに見たことがないほど全身傷だらけのオス犬でした。首輪もマイクロチップも装着されていなかったので、この野良犬の過去はまったく不明です。
しかし、皮膚に穴が空くほど傷だらけの体を見れば、相当辛い放浪生活を送っていたことが容易にわかります。野良犬を保護したスタッフですら、あまりにも酷い状態に直視することができなかったと言います。
しかも、彼の体はガリガリに痩せ、首のリンパ節はテニスボール大ほどに膨れ上がっていたのです。
保護犬の病気は毛包虫症が原因だった
動物管理局で保護犬の体重を量ってみると、わずか15ポンド(7キロ弱)しかなく常に飢餓状態にあったであろうと推測されます。
酷い傷は、毛包虫(ニキビダニ)が原因で、この病気にかかるとただれや脱毛、膿疱(のうほう)といった症状を引き起こします。毛包虫は母犬からも感性しますが、免疫力が低下していると全身に広がりやすくなることがわかっています。
保護犬は、長期間に渡る飢餓とストレスにより免疫機能が落ちていたため、ここまで酷い症状になっていたのでした。さらには、細菌による二次感染が起きていて、尻尾や背中から出血もしていました。
尻尾からの出血をも顧みず喜びを表現する純粋さ
保護した当初はとても不安そうでしたが、スタッフらの声かけに徐々に反応するようになります。そして、保護犬はスタッフにキスをするかのようなしぐさまで見せるようになったのです。
スタッフたちは純粋で愛らしい心を持つこの保護犬に"XO"と命名しました。この名前は、”ハグ&キスしてくるかわいい子”、という彼の性格に由来しています。
獣医の診断で、XO君はまだ1歳程度と若いことが判明します。XO君の治療は、内服と並行して殺虫効果を持つ薬剤で体を洗うなど、とても根気がいるものですが、スタッフは毎日愛情深く面倒を看続けました。
ケアを続ける中で、唯一スタッフが心配したことがあります。それは、XO君がスタッフに喜びを表現するときに、興奮しすぎることでした。彼の尻尾は振り過ぎて出血することがあったからです。
純粋に喜んでくれるのは嬉しいものの、ひび割れた箇所からの出血が繰り返されると、治るものも治りません。スタッフは、XO君が異常に興奮しないよう教えるのに、だいぶ苦労したと言います。
保護犬にセカンドチャンスを!
XO君の体重はおよそ2倍に増え、だいぶ免疫力も高まってきました。そして『セカンド・チャンス・レスキュー』という動物保護団体の協力を得て、里親さんが現れるまで面倒看てもらうことに。動物保護団体のエルマンさんはXO君を一目見て、彼の純粋さに恋してしまったと言います。そして、この子なら間違いなく里親さんが現れるはず、と確信します。
エルマンさんは、里親さんと暮らせるようになるまでは、この子の面倒を看てあげようと決意し、事務所に巨大なベッドを用意してあげました。
優しい眼差しを向けてくれるエルマンさんの側なら、XO君も安心して眠ることができますね。
日課のお風呂とお散歩が楽しみなXO君。まだまだ病気の完治までには時間がかかるようですが、セカンドチャンスはもう目の前まで来ています。
1日も早く永遠の家族に出会えることを祈ります。