今春の「18きっぷ」二回目は、房総半島末端にある路線、銚子電鉄を訪ねることにした。
 朝、6時台の中央特快でまず東京駅まで上り、終着後、総武快速線地下ホームへ。そこから7:18発E217系にて通勤客とともに千葉まで下った。大体8時を回って、千葉駅構内は通勤通学ピークを迎えつつある。総武本線8:39発の銚子行までの間、人混みを避けることも兼ね、コンコース内にあったコーヒーショップで時間調整。狭い店内で30分ほどだが、一応くつろぎの空間を得た。

 さっきの所からはだいぶ離れたホームまで歩き、8:39発ロングシートの211系銚子行に乗車。都賀、四街道あたりで高校生もいなくなり、向かい側の窓から景色を眺めることも楽となる。野菜畑などが延々と続き、関東平野のどかな光景である。


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 10:17、銚子に到着。乗り換えは便利で、降りてまっすぐ、JR線ホームの先端が銚子電鉄線の乗り場となっている。銚電ホームには正面大型二枚窓、いわゆる昔の国鉄80系「湘南電車」の風貌をした元京王2010系が鎮座していた。京王帝都時代は緑色一色で1960年代に登場してから1980年代まで活躍していたように思う。昔日、京王線高尾線で北野~高尾山口を4両編成で往復していた姿が思い起こされて、旧知の友に会えたようで懐かしかった。

 銚電ではこの車両は"新型車両"である。それ以前は吊りかけモーターの独自カラーをした単行電車が主流だったのだが、それらは経年劣化による安全性を国土交通省から問われて数年前に廃車。新規導入の中古車として元京王井の頭線3000系に白羽の矢がたったものの、1500Vから600Vへの降圧化問題で断念。京王引退後に渡った伊予鉄道から銚子電鉄に2010系が譲渡され、代わりに銚電に来る予定だった3000系が四国に渡ったのだとか。まあ、おかげで関東の地で京王湘南窓グリーン車が復活できたのだから、皮肉なる幸運とも言える。

 さて、ここでは営団地下鉄銀座線や丸ノ内線方南町支線出身の単行電車も運転しているのだが、一日乗車券「弧廻手形」を発券してくれた車掌氏によれば、今日は全て二両編成であるという。ということは、京王2010系のは2両編成が2編成運行されていることから察するに遭遇率は100%な日なのだ。これはありがたい。


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 途中で乗り降りして、電車を銚子方面からと外川方面からとで眺める。京王引退後、京王重機で中間車に京王5000系の顔を付けて運転台車化したので、片側先頭車は2010系なのに変則的な面構えだ。1編成が緑色の元京王標準色、もう1編成が京王5000系にならったクリーム色に赤帯という塗色で、双方が銚子~外川を日がな一日往復している。なので、見る方向からは元京王5000だったり元京王2010系だったりして面白い。でも、やはり塗り分けが合っている側から眺める方がよく似合う。


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 私は犬吠駅で観光客が団体で下車するをやり過ごしてから、閑散した一駅間を味わいつつ、終点外川駅まで行った。駅の遠くを見やれば、水面がキラキラしている。そこが外川漁港である。岸壁まで歩いて見ると海鳥が飛び交っていた。しかし、それ以上それ以下でもないので、駅にとって返した。


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 次来た折り返し電車に乗り、犬吠駅で途中下車。「弧廻手形」に付いていたサービス券で銚電名物「ぬれ煎餅」を一枚頂く。観光名所犬吠埼なんて寄っている暇なぞとてもなく、線路際を散策して外川行電車鑑賞。次の銚子行に乗って正午前にJR銚子駅に着いた。


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 急いで跨線橋を渡り、成東までは普通列車扱い、特急「しおさい10号」東京行に駆け込み、ゆったりとロマンスシートの人となる。ああ、快適だね、18きっぷで乗れるE257系特急車両は。
 そして、ぬれ煎を食しながら、昼下がり終わりの小さな旅の感慨に浸るのであった。