春の「青春18きっぷ」が利用開始となった。3月16日のJRダイヤ改正を前に、引退する車両もチラホラある。そこで今日は距離も稼ぐべく、中央本線高尾発の下り初電から始まる信濃路への、普通列車のみでの旅を開始した。
まずは、E233系の大月行で終点まで。そこで降り、富士急行線の大月駅へ。この路線には元京王5000系の車両が主に走っているのだが、6:22発河口湖行が本日は元京王5000系と全く同じ塗色で運行するというのだ。しかし、そこでのんきに揺られていれば、長野まで向かうのが先行き困難でもあるしと、大月駅と、そこから0.6km先にある上大月駅までを徒歩で赴き、懐かしい姿を拝見させてもらった。そして、再び下りJR松本行の乗客となった。
中央本線はみどり湖駅を通る新線と、辰野を回る旧線とがある。岡谷駅から塩尻駅までの後者には「ミニエコー」という名のクモハ123形という荷物電車から転用された一両きりの旅客電車が日がな行ったり来たりしている。それが老朽化によりこの度の改正で廃止されるのだ。私は塩尻駅で跨線橋を渡り、その単行電車の長々としたロングシートの一端に腰掛けた。最後を惜しむ人々で席は埋め尽くされ、吊革を活用したいほどは居る。鋼鉄車両と今時ではないモーター音は、昭和の郷愁を田園風景とともに与えてくれた。
辰野からはまた折り返しに乗車。塩尻で篠ノ井線に乗り換え松本へ。松本駅ではちょうどホームにいるのを見かけたので、松本電鉄線の元京王井の頭線3000系とも、今朝からの京王つながりでもあるしと再会を果たしておく。
まもなくして、そこから篠ノ井へ信州色115系2連のに乗車。途中、姨捨駅でスイッチバック。松本から1時間弱で篠ノ井駅に着いた。そこから軽井沢までは、かつて信越本線の一部分だったが、長野新幹線開業後、しなの鉄道が第三セクターとして在来線を引き継いでいる。
ここではJR当時の車両も継承し、169系国鉄急行型電車が今もなお走行している。だが、こちらも老朽化著しく、この3月15日で運用をはずれ、やがて廃車となる運命だ。ゆえに、これも乗りおさめせねばなるまい。JR線時代での晩年には、八王子~大宮を短絡線経由で結ぶ現在の「快速むさしの号」の前身の頃に好んでお世話になったものである。
さて、しなの鉄道のサイトによると、日曜である今日は小諸~軽井沢をひたすら湘南色のが往復するらしい。ひとまず私は篠ノ井から小諸へ、しなの鉄道色の115系電車に身をゆだねた。
小諸駅はJR小海線との乗換駅である。しなのホームにて、キハ110や回送189系特急型電車を斜め背にしつつ、169系電車を出迎える。デッキの扉を開け、待ちこがれた車内に入ると向かい合わせだが、ゆったりしたリクライニングの座席が並んでいた。そういえば急行列車って、こんな膝つき合わせる形だったなあと、忘れかけていた感慨に浸る。20分あまりだったが、重厚な走行も満喫できた。 軽井沢に終着したものの、碓井峠越えのバスまではだいぶ時間があった。なので、すぐに改札を後にすることはせず、乗ってきた急行型普通列車が引き返すまで、しなのの在来線のホームにたたずむことにした。フェンス横の高台、長野新幹線ホームには東京行の「あさま号」が立ち寄り駆け抜けて行った。
軽井沢~横川は新幹線開通と引き替えに在来線がなくなったので、代行路線バス16:20発横川行に500円を前払いして乗り込む。何だか峠の道路は杉の木ばかりという印象で、車窓は鉄道時代よりかなり味気ない感じがした。まるで花粉のサファリパークの中をウネウネ走っているかのようだ。
横川駅からはトイレ前以外はオールロングシートである107系電車の高崎行に乗車。日も徐々に落ち始めて来たことだし、このへんで今回は帰途につくことにしましょうかね。





