アンティークショップ~紫の石~
アンティークショップ 〜紫の石〜 ㊳
「はーい。
まーくん、そろそろジュンくんから離れようねーっ!!」
とカズがゴールデンレトリバーのまーくんを潤から離そうとするが、まーくんは尻尾をブンブンと振りながら潤から離れようとせず…。
するとカズがまーくんの耳元で何かを囁くと…。
まーくんは慌てて潤からパッと離れたかと思うと店内の片隅まで移動し、寂しそうな声で、
クゥーン…クゥーン…
クゥーンクゥーン…
と鳴いていたのだった。
カズのヤツ…まーくんに一体何を言ったんだよ…?
と思いカズをチラリと見ると、カズは俺の視線に気付くと口元を可愛くくるんとして微笑むと、
「ああ…。
まーくんに『ジュンくんから離れないのなら、そのまま一生犬の姿でいる?』って言っただけですよ。」
とカズはニコニコとしながらそう言うが…。
どう見てもまーくんは怯えた目をしているので、絶対に他にも何か言ってるよな…?
と思っていると、
「さーてと。
そろそろまーくんを元に戻してあげましょうか。」
とカズはそう言うと、店内の片隅で怯えた目をしてこちらの様子を伺っているまーくんの元へと楽しそうにスキップをしながら近付いて行ったのだった。
アンティークショップ 〜紫の石〜 ㊳
元の姿に戻ったまーくんは慌てて俺の元へとやって来ると、両手を合わせて、
「翔ちゃん、ごめんねっ!!ごめんねっ!!」
と謝ってきたのだった。
カズのヤツ…一体何を言ったんだよっ!?
と思いカズを見るが、カズは素知らぬ顔をして潤にニコニコと微笑みかけながら、
「ジュンくん、ハーブティー飲む?」
と聞くと潤は、
「うんっ!!」
と頷くと、カズはまーくんに、
「まーくん。
ジュンくんに美味しいハーブティーをいれてあげてよーっ!!」
と言うとまーくんは、ぱっと顔をカズの方へと向けると、
「はーいっ!!」
と返事をした後、真剣な顔で俺の顔を見つめて、
「翔ちゃん、僕の事を嫌わないでねっ!!」
黒目がちの綺麗な瞳をウルウルとさせ俺の両手をまーくんの両手でガシッ!!と握りながらそう言言った後、手をそーっと離しカウンターの奥にある扉へと消えて行ったのだった。
「カズ…。
お前…まーくんに何を言ったんだよ…。」
ジトッとカズを見ながらそう聞くとカズは楽しそうに、
「んふふふふふ。」
と笑うと、
「それは教えられないけど…。
まあ、頭のいい翔ちゃんなら大体の見当はついているんじゃないの?」
と楽しそうにそう言うので、
「カズ…お前なー「はーい。ジュンちゃん、おまたせーっ!!」」
カズに文句を言おうとするとまーくんが、トレイにハーブティーの入ったガラスのポットを乗せて戻ってきたのだった。
「ジュンくん、熱いから気をつけて飲んでねー。」
と言いながら潤の目の前にガラスのカップを置くとハーブティーを注いだ。
潤はそぉーっとガラスのカップを手に取ると、
ふぅーふぅーふぅーっ
と冷ましながらハーブティーを飲むと、
「まーくんっ!!
美味しいですっ!!」
と微笑みながらそう言うとまーくんは嬉しそうに目を細めて笑うと、
「あっ。
カズくん、翔ちゃん。
おかわりはどう?」
と言いながらまーくんはせっせと俺達の為に動き回っていたのだった。
ハーブティーを飲み終わった潤が、
「しょおさん、行こうっ!!」
と言い俺の手を引くので、
「潤、どこに?」
と聞くと潤は紫色の綺麗な瞳をキラキラとさせて、
「あっち。」
と言いながら〝ファンタスティックワールド〟の地図の置かれている大きなテーブルを指差したのだった。
「ふはっ。
潤、好きだよな。」
と笑いながらそう言うと潤はニッコリと微笑んで、
「うんっ!!
楽しいですっ!!」
と言いながら頷き、俺の手を引いてトテテテテテテテッと〝ファンタスティックワールド〟の地図へと向かったのだった。
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