アンティークショップ~紫の石~


































〜♪♫♩♩♫♪♪♫♩…



ピアノを奏でていると、トントントンッとピアノ部屋のドアを叩く音が聞こえた。




ピアノの音に合わせて指揮者の様に両手を楽しそうに振っている潤の背中に目をやると…。



案の定白くて小さな羽根が姿を現していたので声をひそめて、


「潤、お袋が来たから羽根を直ぐにしまって。」


と言うと、潤は慌てて背中の羽根をしまい、



「これで大丈夫ですか?」


と首を傾げて聞いてきたので、


「ああ。
大丈夫だよ。」


と答えると、ドアの外で待っている母に、


「どうぞーっ!!」


と声を掛けると、ガチャッとドアが開き嬉しそうな顔した母が、


「翔、潤ちゃん。
そろそろ休憩にしない?」



と声を掛けてきたのだった。



休憩という名の潤とお喋りがしたいのが見え見えなのだが、最近の母の楽しみでもあるみたいなので、



「潤…くん。
休憩にしようか?」


と潤に言うと潤は、


「はいっ!!」


とニッコリと微笑んで返事をしたのだった。


















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ピアノ部屋をあとにし、リビングに向かうともう既にお茶の用意がされていて、今日は弟は不在だが父が1人静かにコーヒーを飲みながら俺達が来るのを待っていたのだった。




ローテーブルの上には潤の大好きなモンブランが置かれていて、それを見つけた潤は紫色の綺麗な瞳をキラキラとさせて、



「わぁーっ!!
モンブランですっ!!」

と言うと、母は嬉しそうに、


「潤ちゃんが好きだと言っていたから用意していたのよ。
潤ちゃん、沢山食べてねっ!!」


と言った。



いつの間にか母の潤の呼び方が『潤くん。』から『潤ちゃん。』に変化しており、それだけ母が潤の事が気に入っているようで我が子のように可愛がってくれていて、潤も潤で母にすっかり懐いていて、


「はいっ!!
ありがとうございます。」


と言いながらソファーに座ると、



「いただきまーす。」


と手を合わせた後、幸せそうな顔をしてモンブランを頬張り、



「うん。
美味しいですっ!!
おかわり貰ってもいいですか…?」


と遠慮がちに言ってはいるが、ちゃっかりしっかりとモンブランのおかわりを貰っていたのだった。











モンブランを頬張る潤をニコニコと見つめながら母が、



「潤ちゃん、ピアノは楽しい?」

と聞くと潤は、


「はい。
楽しいです。
しょおさんピアノとっても上手ですよねー。」


とニコニコとしながらそう答えたのだった。




すると、母も嬉しそうな顔をして、


「ふふふ。
翔はね、コンクールで賞を取った事があるのよ。
ねー、お父さん。」


と言い、父に同意を求めると父は、


「ああ。
そうだったよな。」


と言いながら頷き、潤はその話に興味を持ったらしく、紫色の綺麗な瞳を大きく見開いて、


「えーっ!?
凄いですっ!!
僕も見てみたかったですっ!!」


と身を乗り出してそんな事を言い出すもんだから…。






そんな昔の話をされても恥ずかしくて、


「母さん、いつの話をしているんだよ。
もうその話はいいから。」



と話を変えようとするが、


「えーっ?
小学生の頃だったかしら?
ねー、お父さん。」




と母は首を傾げながらそう父に聞くと父は、うんうんと頷いて、


「ああ。
でも中学生の時も賞を取ったり合唱コンクールではピアノの演奏をしていたよな。」


と言うもんだから、潤がますます興味を持ってしまい…。




「えー。
小学生の頃って…しょおさんが小さい時ですか?」

と潤が興味津々で母に聞くもんだから、



「そうよ。
あの頃は可愛かったし。」



と意味不明な事まで言い始めたのだった。






コーヒーを飲んでいた父が、


「その時の映像があったはずだよ。
ちょっと見てくるよ。」


と言い席を立って探しに行こうとするので、父の服の裾を掴み、



「父さんまで、もういいからっ!!

それよりも潤…くん、今日も料理教えて貰うんだろう?」


と話を逸らすと潤は、


「はい。
今日もお料理教えて欲しいです。」

と言いそれを聞いた母も、


「そうだったわよね。
潤ちゃんにお料理教えてあげる約束だった。」


と言い2人はキッチンへと消えて行ったのだった。






はあー。

助かった…。



と思っていると、父もいつの間にかリビングから消えていたのだった。


































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