アンティークショップ~紫の石~





































「「ただいまーっ!!」」



と家に到着し、リビングのソファーにドサリと今日買ってきた潤の洋服や日用雑貨を置き、とりあえず手洗いとうがいを済ませた後、再びリビングへと戻ると潤は荷物を片付けたり、カズから貰ったモンブランやカニクリームコロッケの入っている箱を冷蔵庫の中へと入れたりしていたのだった。





その間俺は風呂の準備をして、


「潤。
先に風呂に入ってからその後ゆっくりと映画でも見ようか?」


と潤に言うと潤は、


「はい。
お風呂に入ってからゆっくりとえいがを見ますっ!!」



と言うと、トテテテテテテテッと走って着替えを取りに行ったのだった。
 













アンティークショップ 〜紫の石〜 ⑰



















風呂あがりの潤の背中には出かけた時にはおさめていた妖精は白くて小さな羽根があり、その羽根をパタパタとさせながら潤は飲み物とコンビニで買ったポップコーンを皿にのせて運んでくるとローテーブルの上へ、


「しょおさーん。
お待たせしましたー。」


と言いながら置いたのだった。



「潤、ここに座りなよ。」


と言い潤を自分の隣に座らせて、寒がりの潤の為に用意していたブランケットを膝にかけてやると潤は、



「しょおさん。
ありがとうございます。」



と言い、


「これ、フワフワで気持ちいいですー。」


とブランケットの上から手をポンポンとのせて、フワフワとしたブランケットの肌触りを楽しんでいたのだった。







「さーてと。
どれにする?」



と言いながら、DVDのケースをテーブルの上に並べて、


「潤が好きなのを選んでいいよ。」



と言い、潤に見たい映画を選んで貰う事にし、潤は真剣な顔でDVDを、




「う〜ん…、これかな…?
いや…こっちかな〜?
あっでも…これも?」



と言いながら選び、



「これにしますっ!!」



と潤が選んだ映画のDVDを受け取るとパッケージから取り出し、DVDプレイヤーにセットをしてリモコンの再生ボタンを押した。





それと同時に部屋の明かりも落として、


「こうやって見ると映画館の気分が味わえるんだよ。」


と潤に言うと潤は、


「ふふふ。
楽しそうです。」


と言いながら、白くてフワフワとした羽根をパタつかせ、テレビの画面をジッと見つめていたのだった。










俺はビールを、潤は常温の水(他にも色々な飲み物があるのになぜだか潤は【常温の水がいい』と言って選んだんだ…。)を飲みながら、テーブルの上にあるポップコーンをつまんで映画を楽しんでいると…。





主人公がピアノを引くシーンがあり、テレビの画面の中からピアノを奏でる音が聞こえてきたのだった。





その音に合わせて指を動かしピアノを奏でている真似をしていると、それに気付いた潤が、



「しょおさん…。
僕、この音が好きです。」



と、俺が画面から聞こえるピアノの音合わせて動かしている指を見てそう言ったのだった。





「潤はピアノの音が好きなんだ。」


と言うと、


「ピアノ…?」


と聞いてきたので、


「ほら。
あれだよ。」


とテレビの画面に映し出されたピアノを指差してそう言うと、



「ピアノ…。

うん、この音が好きですっ!!」



とニッコリと微笑みながらそう言ったのだった。



「じゃあ、今度CDを買ってきてあげるよ。」

と言うと潤は、




「えっと…僕…。
直接…ジャージャージャーンッ!!ってしてるのが見たいです…。」


と言いながら潤は画面に映し出されている映画の主人公の真似をして両手でピアノを弾いているジェスチャーをしたのだった。



「ふはっ。
直接弾いている所が見たいんだ。

そうだなー。
ピアノの演奏会にでも行ってみるか?」


と聞くと潤は首を横にフルフルと振ると、


「しょおさんさん、ピアノ弾けないんですか?」



と聞いてきたのだった。



「えっ!?
俺っ!?」


と自分を指差し、驚いて聞き返すと潤はコクンと頷き、


「はい、そうです。」



と答えたのだった。




「弾けない事はないけど…。

人前で披露する程の腕前ではないし…。」


と言うと潤は、


「しょおさん、弾けるんですかっ!?
僕、しょおさんが弾いているのが聞きたいですっ!!」



と紫色の綺麗な瞳をキラキラと輝かせて、俺の胸元をクイッと掴みながらそう言ったのだった。



「えっ!?
はっ!?

まあ…いいけど…?」



と言うと潤は、



「本当ですかっ!?
嬉しいですっ!?」


と言うと、


「やったーっ!!
しょおさん、ありがとうっ!!」


と言いながら俺に抱きついてきて、潤の背中の白くて小さな妖精の羽根はご機嫌そうにパタパタと動いていたのだった。
























アンティークショップ 〜紫の石〜 ⑰
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