アンティークショップ~紫の石~
俺の目の前には赤いバラの模様のティーポット、カップとソーサーそして皿が置かれていた。
向かい側に座る潤の前には紫色の、カズの前には黄色のバラの模様の描かれたティーポットにカップとソーサー、皿が置かれていた。
色違いのお揃いっぽい感じだよな。
アンティークの食器だなんて高いんじゃないか?
しかもコレ、売り物じゃないのかな…?
売り物使ってもいいのか…?
などと思いながら見ていると、そんな俺を見てカズがクスリと笑うと、
「それじゃあ、食べようか?」
と言ってきた。
ケーキスタンドの1番上の段にあるモンブランに釘付けになっていた潤はカズのその言葉に、
「はいっ!!」
と嬉しそうに返事をすると、
「それじゃあ。」
と言うカズの言葉に合わせて、
「「「いただきますっ!!」」」
と3人で手を合わせると、カズの用意してくれたアフタヌーンティーを楽しむ事にしたのだった。
アンティークショップ 〜紫の石〜 ⑭
「どうやって食べるんだ?」
「ん〜…?」
ケーキスタンドを目の前に困っている俺と潤に、
「あー。
別に形式に捉われず好きに食べてくれればいいよ。
ほら、こんな感じに。」
とカズは1番上の段にある小さなミックスベリーのケーキを手でつまむと、パクリと口にはこんで食べてみせた。
カズの隣に座っている潤に、
「ほら、ジュンくん。
モンブランから食べてもいいよ。」
と言うと、潤はフォークを手に持ちモンブランのクリーム部分をすくい口へと運ぶと、
「美味しいーっ!!」
と嬉しそうに微笑むと、
「しょおさん。
モンブラン美味しいですよっ!!」
と俺に言ってきたので、
「じゃあ潤、俺のも食べていいよ。
ほら皿を貸してよ。」
と言うと潤は、
「えっ!?
でも、しょおさんのが…。」
と言ってきたので、
「ふふ。
俺は潤が美味しそうに食べる顔が見れた方が嬉しいよ。」
と言うと潤は少し照れながら、
「じゃあ…。」
と言い、皿を俺に渡してくれたのだった。
ミックスハワイのケーキを頬張り、ケーキを持っていた指をペロリと舐まていたカズに、
「翔ちゃん…。
よくそんな恥ずかしい事が言えますよね?」
と言われて…。
「えっ?
そうかな?」
とカズに聞き返すと、
「そうですよ。
無自覚なんだ…。」
と呆れた顔でカズにそう言われてしまい…。
そう言われてしまうと確かに俺…。
『俺は潤が美味しそうに食べる顔が見れた方が嬉しいよ。』
だなんて…ちょっと恥ずかしい事言ってた…か…も…?
いや…でも…そんな事はないよな…?
と思わず考え込んでしまったのだが、当の本人の潤は、
「しょおさん、ありがとうっ!!
モンブラン美味しいですっ!!」
と食い気の方が勝っていて…。
潤は何も思っていなそうなのでそれはそれで何だか寂しい気もするが、とりあえず助かったな
。
とホッと胸を撫で下ろしたのだった。
「まあ、いいけど…。
純粋なジュンくんを騙す様な事だけはしないでくださいよ。」
とカズはジトッと俺を見ながらそう言うと、すぐに潤の方を向き、
「ジュンくん、スコーンにはこのクロテッドクリームとストロベリージャムをつけて食べたら美味しいよ。」
と言うとクリーム色でふわふわとしたクロテッドクリームと赤くて美味しそうなストロベリージャムがそれぞれ入っている小さなガラスの器を指差してそう言うと潤は、
「クロテッドクリーム…?」
と首を傾げながらカズに聞いた。
「ああ。
クロテッドクリームは、バターと生クリームの中間のようなクリームだよ。
こうやってスコーンに塗って食べると…。」
と言いながらカズはスコーンを手で半分にちぎると、バターナイフでストロベリージャムとクロテッドクリームを塗り、
「うまっ!!」
と言いながらスコーンを頬張ると、それを見た潤もカズの真似をしてスコーンを手でちぎり、ストロベリージャムとクロテッドクリームを塗り頬張ると、
「美味しいっ!!
カズくん、これ美味しいねっ!!」
と美味しそうにスコーンを食べていたのだった。
そんな潤を見てカズは、
「んふふふ。
潤くんが喜んでくれてよかった。」
とご機嫌な顔をしてそう言ったのだった。
アンティークショップ 〜紫の石〜 ⑭
⭐⭐to becontinued⭐⭐