空の色
此処が3階のせいか昨日グラウンドから見た空よりも、雲が何だか少し近くに見えるような気がして…。
ぼんやりと空を眺めていると、
「…さくらいせんぱい…。
あの雲…お星さまみたいな形をしていますね。」
隣から鼻にかかった舌足らずな声が聞こえた。
声の主の方へと目を向けると、いつの間にか俺の隣には松本くん居て、俺と同じように窓の外の空を眺めていた。
その横顔は綺麗で…。
それでいて、子供のように目をキラキラとさせて空を眺めている姿が可愛くて、見惚れてしまっていた。
すると松本くんが俺の方を見て、
「櫻井先輩、ほら。
あの雲ですよっ!!」
と、空に浮かぶ星の形をした雲を指差して俺に教えてくれた。
どの雲が分かっていないのではなく…松本くんに見惚れていただけなんだけど、松本くんはそんな事に気付いていないので、
「ほら。
あそこですってばっ!!
あの大きな雲の下の辺りにあるー。」
と一生懸命に自分が見つけた、星の形をした雲の場所を俺に教えてくれた。
松本くんの白くてキレイな指が差し示した先にある雲を見つめると、本当に星の様な形をした雲が空に浮かんでいたのだった。
「本当だ。
星みたいな形をしているね。」
と言うと松本くんは、
「でしょう?」
と言うと俺の方を見て、嬉しそうにニッコリと微笑んだのだ。
そう、俺の大好きな君のあの笑顔で…。
空の色 ③
「お前ら、集まってもらって悪いなー。」
と山葉先生が腕組みをして、俺達3人を見ながらそう言った。
自分がなぜ呼ばれているのかよく分からなかったので、
「山葉先生。
智くんと松本くんが呼ばれるのは分かるけど、何で俺まで…?」
と山葉先生に聞くと、
「まあまあ。
櫻井、そんなに慌てるなよ。
とりあえずコーヒーいれるから適当に座って待ってろ。」
と言うと山葉先生は立ち上がり、電気ポットの置いてある棚の所まで行くとコーヒーをいれる準備を始めた。
「んじゃあ、俺はこっちの椅子に座るから、翔くんと松潤はそのソファーに座りなよ。」
と智くんがふんわりと微笑みながらそう言うと木で出来たアンティーク調の椅子に腰掛けたので、俺と松本くんは赤いベルベット素材のソファーに少し離れて隣同士で座ったのだった。
その座った位置からは山葉先生の姿が見え、先生はドリップバッグをコーヒーカップにセットすると、電気ポットのお湯を用意していたシルバーのコーヒーポットの中に注いでいた。
それからコーヒーポットに入れたお湯の温度を測り、
「さてと本題に入るか。」
とコーヒーを飲みながらそう言うと続けて、
「お前らに来てもらったのは、大野が松本の絵を描く間はこの準備室を使って貰おうかと思ってな。」
と言った。
それを聞いた智くんが、
「えっ!?
この部屋を使ってもいいのかっ!?」
と嬉しそうにそう言うと、山葉先生は、
「ああ、いいぞ。
昨日みたいな事が起こったら面倒だし、それに松潤がモデルを辞めると言ったら大野が困るからなー。」
とチラリと松本くんを見ながらそう言うと、
「うっ…。」
松本くんは気まずそうな顔をして、山葉先生と智くんの顔を見つめていた。
智くんは困った顔して、
「うん。
それは困るな…。」
と呟いた。
それを聞いた山葉先生は、
「ただし、条件としてこの部屋を使う時には、部屋の扉は開けておいてくれ。
そして中から絶対に鍵をかけない事。
扉を開けておけば美術室から中が見えるし、まあ美術部の部員なら大丈夫かとは思うんだけど…。
もし万が一、変な噂を立てられてまた騒動になっても面倒だからな。」
と山葉先生は言った。
「うん。
分かった。
「あとは、美術部の部員で見学したいヤツには見学させてやって欲しいんだけど…。
「ああ。
いいけど、その時はあっちのインスタントコーヒーな。
で、皆んなにも飲ませてやってくれ。
部員の人数が多いから、ドリップコーヒーは禁止だからなっ!!」
と言うと電気ポットの置いてある棚にある、インスタントコーヒーの瓶を指差してそう言った。
「はい。
「俺…。
やっぱり関係ないですよね…?」
と山葉先生に言うと、
「櫻井、お前は大野を迎えに来るだろう?
それにここが使えるとなると大野が入り浸るから、その時はお前が大野の面倒みなければいけないだろう?
だから櫻井にも話しを聞いてもらう為に来てもらったんだ。」
と山葉先生は、俺を見つめてそう言った。
まあ、確かに智くんはこの部屋が使えるとなると今まで以上に絵を描く事に専念してしまうんだろうな…。
と思い、
「うっ…。
おっしゃるとおりです…。」
と言うと山葉先生は、
「それにしても、この準備室って広いですよねー。」
と話題を変えた。
此処は昔、教室として使われていたらしいぞ…。
ただな…。
「「いわくつき…?」」
と松本くんと声が重なり、山葉先生にそう聞くと…。
「実はな…。その昔…。」
と山葉先生は、声を潜めていつもよりさらに低い声で話し始めたのだった…。
「美術部の部員だった女子生徒がいて、毎回コンクールで賞を取るくらい絵が上手な生徒だったんだ。
ある時、その女子生徒が交通事故で利き手の右手を失ってしまい、残った左手も事故の後遺症で動かす事が出来なってしまったんだ。
大好きな絵が描けくなってしまい生きていく事に絶望してしまったその女子生徒は、夜中に病院から抜け出し学校へとやって来て…。
で、それ以来…。
…美術室のバルコニーから、女子生後の啜り泣く声と…、
で…。
その女子生徒が飛び降りたバルコニーっていうのが…。
あっ…。
と思っていると…。
「ひぃぃーっ!!」
「うわぁぁーっ!!」
と叫ぶと、松本くんは俺に抱きついてきて、俺もそんな松本くんに抱きついたのだった。
2人で抱き合いながらガタガタと震えていると…。
先程まで真剣な顔をしていた山葉先生が、
「アハハハハハッ!!」
と、急に笑い始めたのだった。
「ハハハハハッ!!
すまん、すまんっ!!
今の話しは嘘だ。」
とニッと笑いながらそう言った。
「はぁーっ!?」
「えーっ!?」
と先生のその態度に少し怒りを覚えた俺と、ビックリとした顔をした松本くんが叫ぶと、
「ハハハハハッ。
あー…可笑しい…。
櫻井と松潤が、まさかそんなにいい反応してくれるとは思ってもいなかったよ。」
と山葉先生は可笑しそうにそう言うもんだから、
「山葉先生っ!!
悪趣味ですよっ!!」
と怒ると、
「ああ…。
と言いながら山葉先生はニヤニヤとしながら、俺と松本くんを指差してそう言ったのだ。
「は?」
「へ?」
何の事…?
と思い、松本くんを見ると、松本くんもキョトンとしながら俺を見つめてきた。
その距離はかなり近くて、目の前に松本くんの顔があり…。
それもその筈…。
だって、俺と松本くんはお互い抱きしめ合っていたんだもんな…。
「「うわっ!!」」
と慌ててお互い離れると、
「ごめんっ!!」
と松本くんに謝ると松本くんも俺に、
「ご、ごめんなさいっ!!」
と謝ってきた。
山葉先生はニヤニヤと笑って俺達を見ており、智くんは智くんで、
「んふふふふふ。
翔くんと松潤は気が合うみたいだし、仲がいいなー。」
なんて、呑気な声でそう言うもんだから、
「智くんは何で今の話し聞いて平気なんだよっ!?」
と思わず智くんに八つ当たりをしてしまい、強い口調でそう言うと…。
「だって、山葉先生のその話し、俺はもう聞き飽きたんだよな。
何回聞かされた事か…。」
と智くんはウンザリとした顔でそう言ったのだった。
「大野ー。
⭐⭐to becontinued⭐⭐
※今回お話の途中に怖い話があるので、苦手な方は飛ばして読んでくださいね。
※今回お話の途中に怖い話があるので、苦手な方は飛ばして読んでくださいね。
飛ばして読んでも大丈夫です!!
因みに怖い話はRONTAの作り話です。
※〜※〜※〜※〜※
翌日の放課後…。
智くんと松本くん、そして何故だか俺も、山葉先生に美術準備室に呼ばれていた。
準備室という割には広い部屋で、入ってすぐのスペースには智くんが松本くんを描く為に使用している赤いベルベット素材のソファーが置かれており、その向かい側にはローテーブルと、木で出来たアンティーク調の椅子やポップなカラーの椅子や丸椅子など色んな種類の椅子が並べられていた。
一番奥には山葉先生の使っている机と椅子。
その横の壁には有名な画家の名前が背表紙に書かれた画集や本がびっしりと並べられた本棚。
反対側の壁は棚があり、デッサン用の石膏像、画材などと一緒に何故だかギターケースらしき物も何個か置かれていた。
(デッサン用のギターなのか?)
この部屋には水道まであって、その横には電気ポット置かれた棚があり、その棚にはカップやインスタントコーヒーの入った瓶らしき物なども置かれていた。
赤いベルベット素材のソファーの後ろには、大きな掃き出し窓があり、その窓は開けられていて入ってくる風が気持ちよくて、ふと窓から外を見上げると、晴れ渡る鮮やかな青い空が広がっていた。
因みに怖い話はRONTAの作り話です。
※〜※〜※〜※〜※
翌日の放課後…。
智くんと松本くん、そして何故だか俺も、山葉先生に美術準備室に呼ばれていた。
準備室という割には広い部屋で、入ってすぐのスペースには智くんが松本くんを描く為に使用している赤いベルベット素材のソファーが置かれており、その向かい側にはローテーブルと、木で出来たアンティーク調の椅子やポップなカラーの椅子や丸椅子など色んな種類の椅子が並べられていた。
一番奥には山葉先生の使っている机と椅子。
その横の壁には有名な画家の名前が背表紙に書かれた画集や本がびっしりと並べられた本棚。
反対側の壁は棚があり、デッサン用の石膏像、画材などと一緒に何故だかギターケースらしき物も何個か置かれていた。
(デッサン用のギターなのか?)
この部屋には水道まであって、その横には電気ポット置かれた棚があり、その棚にはカップやインスタントコーヒーの入った瓶らしき物なども置かれていた。
赤いベルベット素材のソファーの後ろには、大きな掃き出し窓があり、その窓は開けられていて入ってくる風が気持ちよくて、ふと窓から外を見上げると、晴れ渡る鮮やかな青い空が広がっていた。
此処が3階のせいか昨日グラウンドから見た空よりも、雲が何だか少し近くに見えるような気がして…。
ぼんやりと空を眺めていると、
「…さくらいせんぱい…。
あの雲…お星さまみたいな形をしていますね。」
隣から鼻にかかった舌足らずな声が聞こえた。
声の主の方へと目を向けると、いつの間にか俺の隣には松本くん居て、俺と同じように窓の外の空を眺めていた。
その横顔は綺麗で…。
それでいて、子供のように目をキラキラとさせて空を眺めている姿が可愛くて、見惚れてしまっていた。
すると松本くんが俺の方を見て、
「櫻井先輩、ほら。
あの雲ですよっ!!」
と、空に浮かぶ星の形をした雲を指差して俺に教えてくれた。
どの雲が分かっていないのではなく…松本くんに見惚れていただけなんだけど、松本くんはそんな事に気付いていないので、
「ほら。
あそこですってばっ!!
あの大きな雲の下の辺りにあるー。」
と一生懸命に自分が見つけた、星の形をした雲の場所を俺に教えてくれた。
松本くんの白くてキレイな指が差し示した先にある雲を見つめると、本当に星の様な形をした雲が空に浮かんでいたのだった。
「本当だ。
星みたいな形をしているね。」
と言うと松本くんは、
「でしょう?」
と言うと俺の方を見て、嬉しそうにニッコリと微笑んだのだ。
そう、俺の大好きな君のあの笑顔で…。
空の色 ③
「お前ら、集まってもらって悪いなー。」
と山葉先生が腕組みをして、俺達3人を見ながらそう言った。
自分がなぜ呼ばれているのかよく分からなかったので、
「山葉先生。
智くんと松本くんが呼ばれるのは分かるけど、何で俺まで…?」
と山葉先生に聞くと、
「まあまあ。
櫻井、そんなに慌てるなよ。
とりあえずコーヒーいれるから適当に座って待ってろ。」
と言うと山葉先生は立ち上がり、電気ポットの置いてある棚の所まで行くとコーヒーをいれる準備を始めた。
「んじゃあ、俺はこっちの椅子に座るから、翔くんと松潤はそのソファーに座りなよ。」
と智くんがふんわりと微笑みながらそう言うと木で出来たアンティーク調の椅子に腰掛けたので、俺と松本くんは赤いベルベット素材のソファーに少し離れて隣同士で座ったのだった。
その座った位置からは山葉先生の姿が見え、先生はドリップバッグをコーヒーカップにセットすると、電気ポットのお湯を用意していたシルバーのコーヒーポットの中に注いでいた。
それからコーヒーポットに入れたお湯の温度を測り、
「よし!!」
と呟くと、ドリップバッグに少しずつ円を描きながらお湯を注いでいた。
するとたちまち部屋の中が、コーヒーの良い香りに包まれ、隣に座っている松本くんが目をキラキラとさせながら、鼻をスンスンと鳴らすと、
「わぁー…。いい香り…。」
と嬉しそうに呟いていた。
「コーヒー好きなの?」
と聞くとニコニコとしながら松本くんはコクンと頷いた。
ああ…。
笑顔がやっぱり可愛いっ!!
と、あまりの可愛さに、心の中で呟いてしまった。
昨日の一件以来、何となく松本くんとの距離が縮まった様な気がして…。
(気のせいじゃない事を祈る…。)
俺にも少しは懐いてくれたのかも…?
と思うと、何だか嬉しかった。
「お待たせーっ!!
砂糖とミルクは好みで入れてくれ。」
と言うと山葉先生はコーヒーの入ったカップ、そして砂糖とミルク(コーヒーフレッシュ)を入れたガラスの容器とスプーンをテーブルの上にコトンと置いた。
智くんの前には青いカップ。
松本くんの前には紫のカップ、俺の前には赤いカップで、先生は黒いカップを手に取り机の方から持ってきていたコロ付きの椅子に座ると、そのままスズッとコーヒーを美味しそうに飲んでいた。
松本くんもコーヒーをひと口飲み、
「山葉先生っ!!
このコーヒー、美味しいですっ!!」
と目を見開いて山葉先生に言うと、
「おおーっ!!
そりゃあ、良かったっ!!」
と山葉先生はニッと笑いながらそう言った。
「んまっ!!」
「本当だ。
うまいなーっ!!」
と言いながら、俺と智くんもコーヒーを飲んだ。
するとたちまち部屋の中が、コーヒーの良い香りに包まれ、隣に座っている松本くんが目をキラキラとさせながら、鼻をスンスンと鳴らすと、
「わぁー…。いい香り…。」
と嬉しそうに呟いていた。
「コーヒー好きなの?」
と聞くとニコニコとしながら松本くんはコクンと頷いた。
ああ…。
笑顔がやっぱり可愛いっ!!
と、あまりの可愛さに、心の中で呟いてしまった。
昨日の一件以来、何となく松本くんとの距離が縮まった様な気がして…。
(気のせいじゃない事を祈る…。)
俺にも少しは懐いてくれたのかも…?
と思うと、何だか嬉しかった。
「お待たせーっ!!
砂糖とミルクは好みで入れてくれ。」
と言うと山葉先生はコーヒーの入ったカップ、そして砂糖とミルク(コーヒーフレッシュ)を入れたガラスの容器とスプーンをテーブルの上にコトンと置いた。
智くんの前には青いカップ。
松本くんの前には紫のカップ、俺の前には赤いカップで、先生は黒いカップを手に取り机の方から持ってきていたコロ付きの椅子に座ると、そのままスズッとコーヒーを美味しそうに飲んでいた。
松本くんもコーヒーをひと口飲み、
「山葉先生っ!!
このコーヒー、美味しいですっ!!」
と目を見開いて山葉先生に言うと、
「おおーっ!!
そりゃあ、良かったっ!!」
と山葉先生はニッと笑いながらそう言った。
「んまっ!!」
「本当だ。
うまいなーっ!!」
と言いながら、俺と智くんもコーヒーを飲んだ。
山葉先生のいれてくれたコーヒーは、飲んだ瞬間にコーヒーの独特の苦味を感じるけれど後味にはほんのりと甘みが口の中に残り、酸味もフルーティでとても飲みやすかったのだ。
コーヒーを堪能していると山葉先生が、
「さてと本題に入るか。」
とコーヒーを飲みながらそう言うと続けて、
「お前らに来てもらったのは、大野が松本の絵を描く間はこの準備室を使って貰おうかと思ってな。」
と言った。
それを聞いた智くんが、
「えっ!?
この部屋を使ってもいいのかっ!?」
と嬉しそうにそう言うと、山葉先生は、
「ああ、いいぞ。
昨日みたいな事が起こったら面倒だし、それに松潤がモデルを辞めると言ったら大野が困るからなー。」
とチラリと松本くんを見ながらそう言うと、
「うっ…。」
松本くんは気まずそうな顔をして、山葉先生と智くんの顔を見つめていた。
智くんは困った顔して、
「うん。
それは困るな…。」
と呟いた。
それを聞いた山葉先生は、
「そうだよなー。」
と言うと、智くんはウンウンと頷いていた。
と言うと、智くんはウンウンと頷いていた。
「ただし、条件としてこの部屋を使う時には、部屋の扉は開けておいてくれ。
そして中から絶対に鍵をかけない事。
扉を開けておけば美術室から中が見えるし、まあ美術部の部員なら大丈夫かとは思うんだけど…。
もし万が一、変な噂を立てられてまた騒動になっても面倒だからな。」
と山葉先生は言った。
「うん。
分かった。
な、松潤。」
と智くんがそう言うと、松本くんも、
と智くんがそう言うと、松本くんも、
「うん。」
と言って頷いていた。、
「あとは、美術部の部員で見学したいヤツには見学させてやって欲しいんだけど…。
大野、松潤それでもいいかな?」
と山葉先生が言うと、智くんはウンウンと頷いていた。
と山葉先生が言うと、智くんはウンウンと頷いていた。
松本くんコクンと頷いた後、
「それは大丈夫です…。」
と呟き、コーヒーの入ったカップを両手で持ったままカップをジッと見つめて何かを考えて、
「あのぉ…、山葉先生…。
そのかわり…。
この部屋にあるコーヒーを飲んでもいいですか…?」
と松本くんが、恐る恐る山葉先生に聞くと、
この部屋にあるコーヒーを飲んでもいいですか…?」
と松本くんが、恐る恐る山葉先生に聞くと、
「ああ。
いいけど、その時はあっちのインスタントコーヒーな。
で、皆んなにも飲ませてやってくれ。
部員の人数が多いから、ドリップコーヒーは禁止だからなっ!!」
と言うと電気ポットの置いてある棚にある、インスタントコーヒーの瓶を指差してそう言った。
「はい。
それでもコーヒーが飲めるのなら嬉しいですっ!!
山葉先生、ありがとうございますっ!!」
と松本くんは嬉しそうにそう言った。
と松本くんは嬉しそうにそう言った。
本当に松本くんはコーヒーが好きなんだ…。
何て思いながら、山葉先生と松本くんの会話を聞いていたが…。
俺…。
今、この場所に居なくてもいいよな…?
と思い、
「俺…。
やっぱり関係ないですよね…?」
と山葉先生に言うと、
「櫻井、お前は大野を迎えに来るだろう?
それにここが使えるとなると大野が入り浸るから、その時はお前が大野の面倒みなければいけないだろう?
だから櫻井にも話しを聞いてもらう為に来てもらったんだ。」
と山葉先生は、俺を見つめてそう言った。
まあ、確かに智くんはこの部屋が使えるとなると今まで以上に絵を描く事に専念してしまうんだろうな…。
と思い、
「うっ…。
おっしゃるとおりです…。」
と言うと山葉先生は、
「という訳で、櫻井、大野と松潤の事をヨロシクなっ!!」
と、ウインクをして親指を立てると、俺に向かってそう言った。
「はい。
任せてください。」
と答えると松本くんが、
「俺も…?」
と呟くので、
と答えると松本くんが、
「俺も…?」
と呟くので、
「また昨日みたいな事があったら、助けに来るから。」
と言うと、昨日の事を思い出したのか一瞬嫌そうな顔をしたが、
「…櫻井先輩が助けてくれるのなら、俺、大野さんのモデル頑張りますっ!!」
と笑顔でそう言ってくれたのだった。
ら
「ヨシヨシ。
いい子だっ!!」
と言い、ワシワシと松本くんの頭を撫でると、
「ちょっとーっ!!
櫻井先輩…やめてくださいよーっ!!」
と顔を赤くして松本くんはそう言うと、スルリと俺の手から抜け出して、
「それにしても、この準備室って広いですよねー。」
と話題を変えた。
それを聞いた山葉先生が、一瞬顔をこわばらせ、
「あ、ああ…。
此処は昔、教室として使われていたらしいぞ…。
ただな…。
…いわくつきでな…。」
と言いにくそうにそう言ったのだった。
と言いにくそうにそう言ったのだった。
「「いわくつき…?」」
と松本くんと声が重なり、山葉先生にそう聞くと…。
「実はな…。その昔…。」
と山葉先生は、声を潜めていつもよりさらに低い声で話し始めたのだった…。
「美術部の部員だった女子生徒がいて、毎回コンクールで賞を取るくらい絵が上手な生徒だったんだ。
ある時、その女子生徒が交通事故で利き手の右手を失ってしまい、残った左手も事故の後遺症で動かす事が出来なってしまったんだ。
大好きな絵が描けくなってしまい生きていく事に絶望してしまったその女子生徒は、夜中に病院から抜け出し学校へとやって来て…。
当時使っていた美術室のバルコニーから飛び降りてしまったんだ…。
で、それ以来…。
…美術室のバルコニーから、女子生後の啜り泣く声と…、
『…ワタシノ…右手ヲ…返シテ。』
という声が聞こえるようになって….。
実際、生徒や先生で聞こえたという人が何人もいて、さすがにそのまま教室として使うのはマズイという事になり、それで美術室だったこの部屋を準備室として使うようになったんだ。
で…。
その女子生徒が飛び降りたバルコニーっていうのが…。
今、櫻井と松潤が座っているソファーの後ろにある窓の外にある…バルコニーなんだ…。
場所はちょうどお前らの真後ろで…。
場所はちょうどお前らの真後ろで…。
あっ…。
ほら…聞こえるだろう…?」
と言うと山葉先生は右手の人差し指を唇に当てると、そのまま黙ってしまった。
ちょっと…何で黙るんたよっ!?
山葉先生っ!?
何が聞こえているんですかっ!?
と言うと山葉先生は右手の人差し指を唇に当てると、そのまま黙ってしまった。
ちょっと…何で黙るんたよっ!?
山葉先生っ!?
何が聞こえているんですかっ!?
しかも、山葉先生も智くんも俺達の後ろをジッと見つめているし…。
こ、怖すぎて振り向く事も出来ない…。
一体、何が起こってるんですかっ!?
と思っていると…。
急に山葉先生が目力半端ない目をカッ!!と見開いたかと思うと、両手を俺と松本くんの方に伸ばしてきて…。
『ネェ…。
『ネェ…。
ワタシノ…手ヲ…。』
と、いつもより高い声でそう言った。
と、いつもより高い声でそう言った。
えっ!?
どういう事…!?
手が何!?
とパニクっていると山葉先生は、
『…ワタシノ手ヲ返シテヨッ!!』
と叫ぶと、俺と松本くんの腕をガシッ!!と掴んだのだった。
「ひぃぃーっ!!」
「うわぁぁーっ!!」
と叫ぶと、松本くんは俺に抱きついてきて、俺もそんな松本くんに抱きついたのだった。
2人で抱き合いながらガタガタと震えていると…。
先程まで真剣な顔をしていた山葉先生が、
「アハハハハハッ!!」
と、急に笑い始めたのだった。
「ハハハハハッ!!
すまん、すまんっ!!
今の話しは嘘だ。」
とニッと笑いながらそう言った。
「はぁーっ!?」
「えーっ!?」
と先生のその態度に少し怒りを覚えた俺と、ビックリとした顔をした松本くんが叫ぶと、
「ハハハハハッ。
あー…可笑しい…。
櫻井と松潤が、まさかそんなにいい反応してくれるとは思ってもいなかったよ。」
と山葉先生は可笑しそうにそう言うもんだから、
「山葉先生っ!!
悪趣味ですよっ!!」
と怒ると、
「ああ…。
すまない。悪かった。」
と両手を合わせて謝ってきた後、
「でも、お前ら仲良くなれただろう?」
と言いながら山葉先生はニヤニヤとしながら、俺と松本くんを指差してそう言ったのだ。
「は?」
「へ?」
何の事…?
と思い、松本くんを見ると、松本くんもキョトンとしながら俺を見つめてきた。
その距離はかなり近くて、目の前に松本くんの顔があり…。
それもその筈…。
だって、俺と松本くんはお互い抱きしめ合っていたんだもんな…。
「「うわっ!!」」
と慌ててお互い離れると、
「ごめんっ!!」
と松本くんに謝ると松本くんも俺に、
「ご、ごめんなさいっ!!」
と謝ってきた。
山葉先生はニヤニヤと笑って俺達を見ており、智くんは智くんで、
「んふふふふふ。
翔くんと松潤は気が合うみたいだし、仲がいいなー。」
なんて、呑気な声でそう言うもんだから、
「智くんは何で今の話し聞いて平気なんだよっ!?」
と思わず智くんに八つ当たりをしてしまい、強い口調でそう言うと…。
「だって、山葉先生のその話し、俺はもう聞き飽きたんだよな。
何回聞かされた事か…。」
と智くんはウンザリとした顔でそう言ったのだった。
「大野ー。
そんな事言うなよーっ!!」
と山葉先生は智くんにそう言った後、俺と松本くんの方を見て、
「あ、因みにこの部屋は元々美術室の準備室だからな。
イーゼルとか石膏像とか色々置く物が多いから広く作られてるだけだ。
それに便乗して俺の私物も置いたりもしてるんだけどな。」
と言うと、疑問に思っていたギターケースを指差して山葉先生は豪快に笑っていた。
と言うと、疑問に思っていたギターケースを指差して山葉先生は豪快に笑っていた。
⭐⭐to becontinued⭐⭐
お話を読んでくださってありがとうございます
怖い話は大丈夫でしたでしょうか…?
苦手な方がいたら本当にごめんなさい
あと、実はRONTAはコーヒーが飲めないので、コーヒーをいれるシーンはネットで調べて書いているのですが、違ったらゴメンナサイ…
なので、味の表現も微妙だったらスミマセン…
(コーヒー好きな方に教えていただけると嬉しいです)
最近、YouTubeの貼り付け方を覚えたので、また嬉しげに貼り付けちゃいました
よかったらご覧になってくださいね
(ってか皆さん、もう見てますよね…?今更ですよね…?)