~花に想いを込めて~
「松本は何でここにいるの?」
と先輩に聞かれて、
「俺も大野先生に呼び出しくらってしまって…。」
と答えると櫻井先輩は、
「ふーん…。」
と言いながら口に手を当てると暫く何かを考えていた。
先輩は口角をクイッと上げてフッと微笑むと、
「そっか…。
大野先生は来ないかもね…。」
と言った。
「ええっ!?
先生が早く来てくれないと俺…困るんですけど…。」
大野先生…。
サッサと説教を終わらせてくれないと櫻井先輩との時間がなくなってしまうじゃんっ!!
と思いそう言うと、
「えっ?
じゃあ大野先生を呼びに行こうか?」
と言うと櫻井先輩はクルリとUターンをすると、扉の方へと向かって歩き始めた。
ええっ!?
櫻井先輩待ってくださいっ!!
ってか、大野先生来なくても逢いたかった櫻井先輩がここに居るんだから、別に先生居なくてもいいじゃんっ!!
何で俺早く気付かなかったんだよっ!!
と思い慌てて、
「櫻井先輩っ!!
行かないでくださいっ!!」
と言い櫻井先輩を追いかけた。
けれども先輩はそのまま扉に向かって進み続けるから、俺は自分の右手を必死に伸ばして先輩の左手首をグイッと掴んだ。
「待ってください…。
大野先生、居なくてもよかったんです…。」
と俺が言うと先輩は振り向くと首を傾げて俺の顔をジッ見つめてきた。
ちょっ!!!
ちょっとっ!!!
こんな至近距離でっ!!
先輩、俺の顔を見つめないでくださいよっ!!!
こんなに近くで先輩を見れる事は今後もう無いかもしれないので、しっかり目に焼きつけておかないといけないっ!!
と思うけれど、恥ずかし過ぎて目をギュッと瞑って俯いてしまったんだ。
すると先輩は、
「ふはっ!!」
と笑うと、俺の頭をクシャクシャッと撫でてきた。
この人…俺の頭をこうやってよく撫でてくれるんだよな…。
俺、こうして貰うの大好きなんだ…。
と思いながらそっと目を開けると、
「松本。
今日の卒業式の時、音響調整室に居ただろう?」
と聞かれて、コクンと頷くと、
「やっぱり松本だったんだ…。」
と先輩はそう言って微笑んだ。
「よく俺だって分かりましたね。」
と言うと、
「俺、めっちゃ目がいいし…。
それに松本がどこに居ても俺、松本の事を見つける自信はあるよ。」
と俺の顔を覗き込んでそう言った。
「そんなに目がいいなんて羨ましいです…。」
と先輩の顔を見るのが恥ずかしくて目を伏せてそう言うと、
「そういう意味じゃないんだけどな…。」
と先輩がなんだか拗ねた声でそう言った。
キュッキュッキュッ…と手を握られる感触があり、自分の右手を見ると…。
先輩の手首を掴んでいた筈の俺の手が、いつの間にか先輩の手にしっかりと握られていて…。
な、何これ…。
超恥ずかしいんですけど…。
ど…どうしよう…?
と焦ってしまった。
あっ!!
花っ!!
そうだっ!!
先輩に花束を渡さなくては…。
と思い、
「あ、あのっ!!
俺…先輩に渡したい物があってっ!!」
と言うとそっと先輩の手から自分の手を離すと、窓際にある机の上に置いたままにしていた花束を入れていた紙袋の元へと走って行った。
紙袋の中から先輩への花束を取り出すと、再び先輩の元へと駆け寄り、
「あ…あの…。
櫻井先輩…。
卒業おめでとうございますっ!!」
と言いながら、先輩をイメージして選んだ赤い花を中心にアレンジして貰った花束を先輩に差し出した。
「ありがとう。」
と言い先輩が花束を受け取ってくれ、ここで俺の想いを伝えなくてはっ!!と思うのに、緊張してしまい中々言葉が出てこず…。
「………。」
皆んなが応援してくれているだし…。
と思い、
「あ、あのっ!!
俺…先輩に渡したい物があってっ!!」
と言うとそっと先輩の手から自分の手を離すと、窓際にある机の上に置いたままにしていた花束を入れていた紙袋の元へと走って行った。
紙袋の中から先輩への花束を取り出すと、再び先輩の元へと駆け寄り、
「あ…あの…。
櫻井先輩…。
卒業おめでとうございますっ!!」
と言いながら、先輩をイメージして選んだ赤い花を中心にアレンジして貰った花束を先輩に差し出した。
「ありがとう。」
と言い先輩が花束を受け取ってくれ、ここで俺の想いを伝えなくてはっ!!と思うのに、緊張してしまい中々言葉が出てこず…。
「………。」
皆んなが応援してくれているだし…。
それに後悔しない様にせめて自分の気持ちだけは伝えなくてはっ!!
と思い、今までの俺の気持ちを口に出そうとしたその時…。
「あっあの…「好きなんだ…。」」
俺が言葉を発したのと同時に先輩が、
『好きなんだ。』
と言った。
その言葉を聞いた瞬間、頭が真っ白になり…。
と思い、今までの俺の気持ちを口に出そうとしたその時…。
「あっあの…「好きなんだ…。」」
俺が言葉を発したのと同時に先輩が、
『好きなんだ。』
と言った。
その言葉を聞いた瞬間、頭が真っ白になり…。
だけど、
あ、ああ…。
うん、やっぱりそうですよね…。
二宮先輩の事が…ですよね…。
そう思うと涙が溢れ出しそうになるのをぐっと堪えた。
先輩が続けて何かを言おうとしたけれど、俺はもうその続きは『和が…』と続くのは分かっていたので、
「あ、あはははっ…。
分かってます…。
櫻井先輩が二宮先輩の事が好きなの俺知っていましたから…。」
と笑顔で言ったつもりが…。
次から次へと涙が頬を伝って流れるのを感じていた。
うわぁ…。
俺、最悪…。
涙を手の甲で拭こうとすると、先輩がそっと綺麗な指で俺の涙を拭ってくれた。
「松本…。
何で泣いているの?
それに何で今、和の話が出るんだ?」
櫻井先輩は不思議そうな顔をして俺にそう聞いてきた。
ああっ!!
もうっ!!
俺、失恋して悲しいし、先輩の恋人は二宮先輩じゃんっ!!
そう言いたいのに…。
出てくるのは、
「うっうう…。
グスッッグスッ…。
うう…うっうっ…。」
泣き声と鼻を啜る音だなんて…本当に俺…最悪…。
と思うけれど涙は止まらず泣き続けていると…。
櫻井先が困った顔をして、
「松本…。
泣かないで…。
松本が泣くと俺…悲しいよ…。
そんなに嫌だっただなんて…ゴメンな…。」
と優しく言ってきた。
ああ…。
そんなに嫌だっただなんて…ゴメンな…。」
と優しく言ってきた。
ああ…。
本当にこの人はどれだけ俺を惚れさせると気が済むんだよ…。
そんなに優しくされると、俺…先輩の事を諦めきれないじゃん…。
フルフルと首を横に振りやっとの思いで、
「せんぱいは…わるく…ないでず…。
お…おれが…かってに…うっうう…。
せんぱいのことが…すぎだったんだじ…。」
と言うと先輩が俺の頭を撫でてくれながら、
「そうか…。
そうだったんだ…。
松本は俺の事が好きだったんだ…。」
と言ったかと思うと突然、
「って…。
はぁーーーーーっ!?????」
と叫んだのだった。
先輩が叫んだ事にビックリしてしまい、俺の涙も止まりキョトンして先輩の顔を見ていると、先輩がガシッと俺の両肩を掴んだ。
「松本っ!!
いいかっ!!
よく聞いてくれっ!!」
と先輩が目力半端なく俺を見つめながらそう言うので、コクコクコクッと頷いた。
すると櫻井先輩は、目を瞑ってスゥーッと息を吸ったかと思うとパッと目を開き、あの綺麗な瞳で俺を見つめてきた。
「俺は松本の事が好きなんだよ。」
といつもの綺麗な笑顔で先輩はそう言った。
櫻井先輩…。
綺麗で格好良いな…。
そんな男前な顔で言わなくても分かってますよ…。
「櫻井先輩…。
分かってますよ…。
先輩がまつもとの事が好きだって…。」
と言い…。
ん…?
まつもと…?
まつもと…?
松本…???
松本…って俺…?
「えっ!?
えぇぇぇぇぇーーーーーーっ!?」
口をパクパクさせながら先輩を見つめると、
「もう…。
お前は何でそう天然なんだよ…。」
と先輩はそう言うと俺のおでこを人差し指で弾いた。
「心臓に悪いわ…。
本当に…。」
と先輩はブツブツ言っていかと思うと急に真剣な顔になり俺を見つめてきた。
右手を差し出して、
「潤…。
好きだよ。
俺と付き合ってください。」
と先輩は言った。
「あ…。
OKだったらコレを受け取ってよ。」
と先輩が上着のポケットから取り出したのは金色の小さなボタンだった。
キズだらけのそのボタンは制服の学ランの袖口についているボタンで、先輩は右手の袖口を俺に見せると、
「3年間…俺と一緒に過ごしていたボタンなんだよな…。
大切な人に持っていて欲しいと思って…。」
と少しはにかんだ笑顔でそう言った。
先輩の手のひらの上にある小さなキズだらけの制服の金色のボタンにそっと触れ…。
手に取ると…。
「俺も先輩が好きです…。
宜しくお願いします…。」
と頭を下げてそう言った。
頭を上げると先輩が目を閉じて顔を上に向けて、
「はぁーーっ。
あーっ、よかった…。」
と言いながらホッとした顔をしていた。
先輩は俺に近付いてきて、
「潤…。
ずっと好きだったんだよ…。」
と言うとグイッと俺の腕を引っ張ると俺はスッポリと先輩の腕の中に収まり…抱きしめられる形となった。
先輩の温もりとドクッドクッと言う心臓の音を感じながら、自分の想いが先輩に伝わりそして先輩が俺を想ってくれていたかと思うと嬉しすぎて気持ちが昂ってきて…。
先程までは悲しくて流れていた涙が今度は嬉しくて再び俺の目から次から次へとこぼれ落ちていき…。
「ふはっ。
もう、泣くなよ。
泣き虫だな…。」
と先輩は笑いながらそう言うと、先輩は優しく俺の頭を撫でてくれた。
「だっで…。グスッグスッ…。
嬉しいんらもん…。グスッグスッ…。」
と言うと先輩は、
「泣き虫な所も可愛いんだよな。」
と先輩が俺を抱きしめる力をギュッと強めたその時…。
美術室の扉がガタンッと音がしたかと思うと、
「しょうちゃんぜんぱい…。グスッグスッ…。
そこはまつぢゅんにチューするとこ…ゴフッ…「相葉ちゃん、バカッ!!」」
相葉くんと相葉くんの口を押さている東の姿がそこにはあった。
その後ろには南、西、北、そして大野先生に二宮先輩まで居て…。
「な、何でお前ら居るんだよっ!!」
と先輩が驚いた顔をしてそう言うと…。
「あ。
俺は翔ちゃんが大野先生に呼び出しくらって心配だったから…。
でも俺達、翔ちゃんが松本くんを抱きしめている所からしか見ていないからご安心を。」
と平然とした顔で言う二宮先輩。
「いやー。
松潤、上手くいってよかったなー。
先生嬉しいぞー。」
ふんわりと微笑み嬉しそうな顔をした大野先生。
「まづぢゅーん。グスッグスッ…。
よがっだーっ!!グスッグスッ…。」
と涙を流しながら喜んでくれる相葉くん。
「あ…。
俺達は大野先生に松潤の説教を早く終わらせて貰う様にお願いしようと思ってここに来て…。」
と気まずそうに言うと東にそれを聞いて頷く、南と西と北。
「まあ、何はともあれよかったよなー。
おめでとうっ!!」
と言いながら大野先生が拍手をすると、皆んなからも拍手が起こった。
「まづぢゅん…おめでどうっ!!グスッグスッ…。」
「翔ちゃん、よかったねー。」
「松潤、よかったなー。」
「お幸せにーっ!!」
「櫻井、先輩松潤を宜しくお願いしますっ!!」
「松潤、おめでとうー。
泣くなよーっ。」
と口々にそう言い喜んでくれた。
皆んなに先輩に抱きしめられているところを見られてちょっぴり恥ずかしかったんだけど、それよりも先輩に想いが通じた事の方が嬉しくて俺はそのまま先輩に抱きついたまま泣き続けてしまったんだ。
相葉くん達に後押して貰い、この日の為に勇気を振り絞り花に想いを込めて伝える事ができ、先輩と俺の思い出となる先輩の卒業式となった。
先輩とのお付き合い記念日には、毎年あの駅の近くにある花屋さんで花を選んで先輩に贈ろう…。
俺の想いを…花に想いを込めて…。
〜花に想いを込めて〜
⭐end⭐
いつもお話を読んでくださって、ありがとうございます
“花に想いを込めて”の後編の日にち設定を間違えていて…
一回お話を下げてしまったのでもしもお話を読んでいる途中に読めなくなった方がいたらごめんなさい…
内容は同じです