深い深い海の… 〜21〜
「あの時俺は翔くんさえ助かってくれればいいと思っていたから…。」
と言うと和也くんが、
「やっぱり愛の力ですね。」
とクスリと笑った後、
「俺は潤くんが短剣を手にして翔ちゃんへの愛の言葉を口にした瞬間、これでやっと終わったと安堵していたんですよ。」
と話を続けた…。
なのに潤くんの手にしている短剣はそのまま潤くんの左胸を突き刺したので、俺は慌ててナイフを止める為の魔法の呪文を唱えたんだけど…。
それも潤くんに効かなかったんですよ…。
「潤くんの生気が失われていくのを感じて俺は焦りを感じていると…。」
と言うと、和也くんは俺の左肩にそっと触れて…。
「潤くんのこの左肩にあった翔ちゃんのハート(心臓)の印が…赤いハートの形をした鱗が、キラキラと輝きながら宙をフワッと舞ったんだ。」
和也くんはジッと俺を見つめてそう言うと、肩から手をそっと離した。
「赤いハートの鱗を潤くんに戻さなければと思い、それを掴もうと手を伸ばすと…」
バリンッ!!
と魔法の泡の割れる音がして振り返ると其処には翔ちゃんの姿があって、
『和っ!!
それに触るなっ!!』
と言い、翔ちゃんが赤いハートの鱗に駆け寄ると、そっと手のひらの中に包み込んだんだ。
それはそれは大切そうに愛おしそうに…。
翔ちゃんに気を取られていると、
『潤っ!!』
という翔ちゃんの叫び声で潤くんに視線を戻すと、潤くんはよろめいてそのまま船から海に、
ザブンッ!!
と落ちたんだ…。
あの時現れた海の魔物達は俺の手下で、潤くんには絶対に手を出すなと言っていたんだけど、
『海の魔物達っ!!
潤くんを直ぐに助けろっ!!』
と海に向かって叫ぶと…。
翔ちゃんが怒りに満ちた目で俺を見て、
『そんな事は不要だ。
潤には指一本触れるなっ!!』
と言うと翔ちゃんは海にそのまま飛び込んだんだ。
そうして海に落ちた潤くんを助けだした翔ちゃんは、潤くんを抱きかかえて船に戻ってきたんだ…。
『潤…く…ん…?』
潤くんの名前を呟き近付こうとすると、
『来るなっ!!』
翔ちゃんが潤くんを抱きかかえたままそう言って、俺が近寄るのを拒絶されてしまってその場に立ち尽くしていると…。
『翔ちゃん。
潤ちゃんどうしたの…?』
『潤も翔くんも大丈夫なのかい?』
まーくんと大野さんもいつの間にか船に戻ってきていて…。
『俺のせいなんだ…。』
力なくそう呟き…。
深い深い海の… 〜21〜
「あの時俺は翔くんさえ助かってくれればいいと思っていたから…。」
と言うと和也くんが、
「やっぱり愛の力ですね。」
とクスリと笑った後、
「俺は潤くんが短剣を手にして翔ちゃんへの愛の言葉を口にした瞬間、これでやっと終わったと安堵していたんですよ。」
と話を続けた…。
なのに潤くんの手にしている短剣はそのまま潤くんの左胸を突き刺したので、俺は慌ててナイフを止める為の魔法の呪文を唱えたんだけど…。
それも潤くんに効かなかったんですよ…。
「潤くんの生気が失われていくのを感じて俺は焦りを感じていると…。」
と言うと、和也くんは俺の左肩にそっと触れて…。
「潤くんのこの左肩にあった翔ちゃんのハート(心臓)の印が…赤いハートの形をした鱗が、キラキラと輝きながら宙をフワッと舞ったんだ。」
和也くんはジッと俺を見つめてそう言うと、肩から手をそっと離した。
「赤いハートの鱗を潤くんに戻さなければと思い、それを掴もうと手を伸ばすと…」
バリンッ!!
と魔法の泡の割れる音がして振り返ると其処には翔ちゃんの姿があって、
『和っ!!
それに触るなっ!!』
と言い、翔ちゃんが赤いハートの鱗に駆け寄ると、そっと手のひらの中に包み込んだんだ。
それはそれは大切そうに愛おしそうに…。
翔ちゃんに気を取られていると、
『潤っ!!』
という翔ちゃんの叫び声で潤くんに視線を戻すと、潤くんはよろめいてそのまま船から海に、
ザブンッ!!
と落ちたんだ…。
あの時現れた海の魔物達は俺の手下で、潤くんには絶対に手を出すなと言っていたんだけど、
『海の魔物達っ!!
潤くんを直ぐに助けろっ!!』
と海に向かって叫ぶと…。
翔ちゃんが怒りに満ちた目で俺を見て、
『そんな事は不要だ。
潤には指一本触れるなっ!!』
と言うと翔ちゃんは海にそのまま飛び込んだんだ。
そうして海に落ちた潤くんを助けだした翔ちゃんは、潤くんを抱きかかえて船に戻ってきたんだ…。
『潤…く…ん…?』
潤くんの名前を呟き近付こうとすると、
『来るなっ!!』
翔ちゃんが潤くんを抱きかかえたままそう言って、俺が近寄るのを拒絶されてしまってその場に立ち尽くしていると…。
『翔ちゃん。
潤ちゃんどうしたの…?』
『潤も翔くんも大丈夫なのかい?』
まーくんと大野さんもいつの間にか船に戻ってきていて…。
『俺のせいなんだ…。』
力なくそう呟き…。
俺はただただ呆然とグッタリとして動かない潤くんと、潤くんを必死に抱きしめている翔ちゃんを見つめる事しかできなかったんだ…。
翔ちゃんが潤くんから戻ってきた赤いハートの鱗を必死に潤くんの口に入れようとしても、潤くんがそれを飲み込むどころか反応が全く無くて…。
『潤っ!!
潤っ!!
目を覚ましてっ!!
潤っ!!』
翔ちゃんが必死で潤くんに声を掛けるけれど、潤くんは相変わらず生気が失われたままでグッタリとしていたんだ。
『潤…。
俺を置いていかないでよ。
潤…。
俺、まだ潤に俺の気持ちを伝えていないよ。
潤、俺も潤を愛してるよ…。』
翔ちゃんが必死に潤くんに声を掛けるけれど、潤くんは一向に息を吹き返す様子はなくて…。
『じゅん…。』
と潤くんの名前を呼んだ翔ちゃんの大きな綺麗な瞳からポロリと涙が溢れ落ちたんだ…。
それは人魚の涙…。
真珠の涙…。
その真珠の涙が潤くんの血の気のない頬を伝い、真っ青になっていた唇に触れるとそのまま口の中にポトンと落ちると…。
『……ん…んん…。』
『…ハァ…ハァ……。』
潤くんの真っ青だった唇がほんのり桜色に色付き、真っ白だった顔にも血の気が戻ってきて…。
翔ちゃんが潤くんから戻ってきた赤いハートの鱗を必死に潤くんの口に入れようとしても、潤くんがそれを飲み込むどころか反応が全く無くて…。
『潤っ!!
潤っ!!
目を覚ましてっ!!
潤っ!!』
翔ちゃんが必死で潤くんに声を掛けるけれど、潤くんは相変わらず生気が失われたままでグッタリとしていたんだ。
『潤…。
俺を置いていかないでよ。
潤…。
俺、まだ潤に俺の気持ちを伝えていないよ。
潤、俺も潤を愛してるよ…。』
翔ちゃんが必死に潤くんに声を掛けるけれど、潤くんは一向に息を吹き返す様子はなくて…。
『じゅん…。』
と潤くんの名前を呼んだ翔ちゃんの大きな綺麗な瞳からポロリと涙が溢れ落ちたんだ…。
それは人魚の涙…。
真珠の涙…。
その真珠の涙が潤くんの血の気のない頬を伝い、真っ青になっていた唇に触れるとそのまま口の中にポトンと落ちると…。
『……ん…んん…。』
『…ハァ…ハァ……。』
潤くんの真っ青だった唇がほんのり桜色に色付き、真っ白だった顔にも血の気が戻ってきて…。
『翔ちゃんっ!!
潤ちゃん、息してるよっ!!』
『翔くんっ!!
潤はまだ生きているぞっ!!』
まーくんも大野さんがそう叫び、翔ちゃんが潤くんの口元や胸に耳を当てると、
『潤…。
戻ってきてくれてありがとう…。』
と言い再び潤くんを抱きしめて泣いていたんだ。
でも、翔ちゃんの流した涙は人魚の真珠の涙ではなく…。
透明な涙を流していて…。
ふと翔ちゃんの足元を見ると、翔ちゃんの足は人間の足になっていたんだ。
翔ちゃんは人間になって潤くんと一緒に生涯を過ごしたいと思っていたので、その翔ちゃんの想いが潤くんに愛される事により叶えられたんだ…。
『で、潤くんはそのまま眠り続けて今に至る、という訳なんですよ。』
と話し終えると和也くんは翔くんの方を見ると、
「翔ちゃん、お邪魔しました。
あとは2人でごゆっくりと過ごしてください。」
と言うと雅紀くんの手を引き部屋から出て行こうとすると、雅紀くんが、
「えっ!?えっ!?
和くん、何でっ!?
折角潤ちゃんが目を覚ましたんだから僕も潤ちゃんとお話ししたいよーっ!!」
と言うと和也くんが、
「まーくん。
貴方、野暮な事言うんじゃありませんよっ!!」
と雅紀くんに言うと、
「和くんだけズルいんだーっ!!」
と雅紀くんが和也くんの手をグイグイと引っ張りながら部屋の中へと戻ろうとすると、
「雅紀、悪いんだけど今は潤と2人だけで話しをさせてくれないか?
後でゆっくりと潤と話しをさせてやるから。」
と雅紀くんに手を合わせてそう言うと、
「翔ちゃんがそう言うんなら仕方ないよね…。
潤ちゃん、またあとでねっ!!」
と雅紀くんはブンブンと手を振り、和也くんはペコリと頭を下げると部屋から出て行ったのだった。
⭐to becontinued⭐
いつもお話を読んでくださって、ありがとうございます
お話の更新が遅くなってしまい、ごめんなさい
(待ってくださっている方がいればいいのですが)
潤くんの99.9の映画化楽しみですね
2021年の冬が待ち遠しいです