「花浅葱、何かお手伝いする事はありますか?」
と紅藤が聞くと、
「紅藤、元気になったんだね、よかったねー。」
と花浅葱が腰を落として紅藤を抱きしめた。
「花浅葱にもご迷惑をおかけして、ごめんなさい…。」
しゅんとしながら言う紅藤に、
「迷惑なんか掛かっていないよ。」
と言い、紅藤の頭をそっと撫でてやりながら花浅葱が、
「じゃあ、紅藤はこっちでお味噌汁作ってくれる?」
と言うと紅藤は、
「はーい。」
と言い、花浅葱の手伝いを始めた。
紅藤の後ろにいた赤紅が、
「花浅葱ー。私はー?」
と聞くと、花浅葱は微笑みながら、
「じゃあ、赤紅はお弁当を作るのを手伝ってくれる?」
と言った。
「はーい。」
と赤紅は返事をし、花浅葱の手伝いを始めた。
テキパキと赤紅と紅藤に指示を出し朝御飯の用意と、お弁当作りを進めていく花浅葱の様子をを勝手の入り口で見ていた智くんに、
「智くん、良いお嫁さん貰ったね。」
と言うと、
「翔くん、花浅葱は嫁じゃないしっ!!」
と言いながらも智くんは、愛おしそうに花浅葱の事を見つめていた。
二人で料理をする花浅葱達をボーーッとして見ていると、
「翔様と智様は、客間でゆっくりしながら待っていてください。
後でお茶をお持ちしますね。」
と花浅葱に言われて、二人で客間へと移動しようとると、花浅葱が勝手の入り口から顔を出し、
「あ、潤様と和也さんが客間の隣の部屋でお休みになっているので、あまり煩くしないであげてくださいね。」
と言ったので、
「わかったよ、花浅葱。」
と言い智くんと二人で客間へと移動した。
その後花浅葱の持ってきてくれたお茶を飲みながら、客間で智くんと座って話をしていたのだが、眠っている潤の事が気になり、潤と和也の眠っている部屋へと続く襖をチラチラと見ながら過ごした。
パタパタと廊下を走る音が聞こえてたと思うと、花浅葱の手伝いを終えた赤紅と紅藤が客間へとやって来た。
赤紅が、潤の眠っている部屋へと続く襖に耳を当てて、
「潤様…、まだお目覚めじゃないみたいだね。」
と言うと紅藤が、
「きっとお疲れだからゆっくり休ませてあげよう。」
と言い、赤紅の手を引いて襖から離れようとするが、赤紅が、
「此処で待ってる。」
と言うと、その様子を見ていた花浅葱が、
「赤紅、紅藤、邪魔しちゃ駄目だよ。」
と注意をするが、赤紅は頑なにその場所から動こうとはしなかった。
見兼ねた智くんも、
「おい、赤紅、紅藤、こっちに来て一緒にお茶を飲もうぜ。」
と言っても、
「此処で潤様を待ちます。」
と言う赤紅に紅藤が、
「ダメだよ…。」
と注意をした。
「だって、潤様が気になるんだもん…。」
「でも、まだ潤様はお目覚めじゃないから…。」
「でも、もう朝だよ。」
二人がごたついていると、隣の部屋の障子がバンッと開く音がしたかと思うと、
「にのちゃーんっ!!Jちゃーんっ!!
おはよーっ!!」
と元気よく言う相葉くんの声が聞こえてきた。
すると、
「しぃーーーーっ!!
相葉さん、Jがまだ寝ているから…。」
と小声で喋る和也の声も聞こえてきて、ボソボソと和也と相葉くんが喋っている声が聞こえてきた。
暫くすると、
「もう朝なんだから、Jちゃんも起きなくっちゃいけないんだから大丈夫っ!!」
と言い、
うひゃひゃひゃひゃひゃっ、
と、楽しそうに笑う相葉くんの声が聞こえてくると赤紅が、
「あ、起きたよっ!!」
と言い襖へと手を掛けたのを見て、紅藤が、
「ダメだよっ!!赤紅っ!!」
と止めたが、赤紅はそのまま襖をバンッ、と開けて、
「潤さまぁーーっ!!」
と言いながら隣の部屋へと走って入って行き、紅藤は、
「駄目だってーっ!!
まだお目覚めじゃないからっ!!」
と言いながら赤紅を追いかけて行った。
「全く、赤紅と紅藤は…。」
と言いながら立ち上がり、二人の入って行った襖へと近づいて行くと…。
そこには潤を抱きしめ、布団に横たわっている和也の姿が目に入った…。
はぁーーーーっ!?
何やってるんだぁーーーっ!?
ってか何で和也が潤を抱きしめて寝てるんだよーっ!?
と叫びそうになるのをグッと抑えて、平常心を保つ為に、
落ち着け俺…、落ち着け俺…。
と心の中で呪文のように唱えながら、只々ジィーーッと和也を睨みつけるので精一杯だった…。
⭐to be continued⭐