と問うと、
それから何度も、おおみ屋工房へ足を運び、智和と一緒に和也への謎解きの手紙を考えたり、光の星の流星をどのようにするかの話し合いをしたりした。
季節は巡り木々が紅葉する秋へと移り変わったある日の晩、智和を連れてこっそりと潤と俺の〝永遠の契り〟の記念日の場所へと向かった。
この頃には智和の身体は日に日に弱っていっており、例の木のトンネルの道を歩くのは無理だったので、俺が智和を抱きかかえて空を飛んで此処までやって来た。
暗闇の中、智和を地面に下ろし、翼をバサバサッと羽ばたかせ、光り輝く小さな羽で智和の足元を照らしてやった。
「智和、寒くないか?」
此処は山の中、夜はかなり気温が下がり寒くなるので、智和の身体を気遣い声を掛けると、
「ああ。大丈夫だ。
翔に言われた通り暖かい格好で来たし、花浅葱が心配して色々用意してくれたんだ。」
暖かそうな上着や頭に被った毛糸の帽子、首に巻かれた巻物を指差した後、手袋をはめた手も見せてくれてニッコリと笑い答えた。
智和のその様子を見て安心し、
「さて、和也の為の光の星の〝贈り物〟の、最終確認をして欲しいんだが…。」
と言うと、智和が、
「えっ!?光の星の流れ星を此処で飛ばすのは、潤との〝結婚記念日〟だけじゃなかったのか…?」
と驚いて聞いてきた。
「智和はこだわりがあり過ぎるので、後から文句言われても困るからなー。」
とニヤリとしながら言うと、
「翔、ありがとう。」
と、俺の手を取り、礼を言ってきた。
「ところで智和、例の物は持ってきたのか?」
と問うと、
「ああ、持ってきた。」
と言い、斜め掛けにしていた小さな鞄から、黄色の地に水色の葉の模様の入った風呂敷に包まれた小さな物を取り出した。
風呂敷の中には小さな桐の四角い桐の箱がはいっており、風呂敷から取り出した桐の箱の中に入っているソレを、智和は丁寧に大切そうに取り出し、
「これが話していた時計だ。」
と言い、俺の手のひらの上に、そっと乗せてくれた。
と言い、俺の手のひらの上に、そっと乗せてくれた。
その時計の文字盤の上半分には月の絵が現れており月の絵の周りには、赤、黄、緑、青、紫の小さな石が散りばめられていて、その小さな石達が光り輝く小さな羽の僅かな明かりの中でもキラキラと輝いていた。
午前中には太陽の絵が現れ、〝サン&ムーン〟という名の時計だと、以前智和から教えて貰っていたその時計の十二時の位置には、和也の魂の色の黄色の星の形をした小さな石が入っており、螺子の部分も星の形をしており、智和のこだわりと和也への想いの詰まった時計だった。
「こんなに素晴らしい時計なら、きっと和也も喜ぶと思うぞ。」
と言いながら時計を智和に返すと、
「そうか。それならよかった。」
と嬉しそうな顔をし、時計を握りしめていた。
「さてと、始めようか。」
と言い、智和の腕に時計をはめて貰い、
「俺が合図をしたら、時計を俺の方に向けてくれ。」
と言い、体力のない智和をずっと立たせておけないので、事前に用意していた椅子に座らせた。
「翔、ありがとう。」
と言い智和は、和也への光の星の〝贈り物〟を待ちわびながら椅子に座って待っていた。
⭐to be continued⭐