Jはあれからずっと、〝鳥さん〟の去って行ったベランダを窓から寂しそうに眺めている…。




相葉さんと俺は、〝鳥さん〟の足についていた紙を部屋の中に持ち込み、テーブルに広げて2人で覗き込んでいた。







広げた白い紙には墨で、













月          節分

日          こどもの日

時          建国記念の日



ヒント

雛祭りは九



前回の手紙の答えと今回の手紙の答えを、紙に書いて用意しておくように。

後日取りに行く。






大宮のじじいより













と書かれていた。





「なにコレ…?」

「くふふふっ。また謎の暗号だね。」

「じいちゃんも好きだよねー。」

「くふふふっ。金田一少年とコナンくん再びだねっ!!」


「〝後日取りに行く。〟って…。誰が…?」

「にのちゃんのおじいちゃんだったら、怖いよねー!!」

「ホラーは勘弁してよー!!」




ふと窓の外を寂しそうに見つめるJが目に留まり、


「Jもこっちに来て、謎解き手伝ってよっ!!」


Jを呼んでみたけど、背中を向けたまま首をフルフルと横に振り来ようとしない。





あの鳥はJと何か関係があるのかな…?

見た事もない鳥…。

黒と金色の羽…。

真紅の瞳…。

Jとお揃いの指輪を持っていた。
(多分、お揃いだと思う。)



「それよりJ、あの鳥は一体なんなの?」


「鳥サン…?」

〝鳥さん〟の話題になり、やっとJがこちらを振り向く。


「そう、〝鳥さん〟」


「あー!!それ俺も思ったー!!見た事がない鳥だよねー?何の種類なのかなー?」


「んー?鳥サンは鳥サン…。」


「Jに懐いていたけど、Jの鳥?」


Jはフルフルッと首を横に振る。

「違ウ…。鳥サンはじめまして。」


「えっ!?初めて会ったのっ?」


コクコクッとJが頷く。



「でも、J、この間も〝鳥さん〟って言っていたよね?」


「んー。遠ク二鳥サン見エた…。」


「Jちゃん、この間言ってた〝鳥さん〟も、今日来た〝鳥さん〟の事なの?」


Jはコクコクッと頷く。




「実はさ…。〝鳥さん〟の左足にJと同じ指輪がはめてあったんだよね。」


と、Jの左手の薬指の指輪を見つめる。


「えっ!?それ本当なの?」

「多分…。だけど同じデザインで石の色が違うだけかと…。」



Jが俺に近づいてきて、指輪を見せてくれる。

「コレ…?」


「うん。多分これの石が紫バージョンだと思うよ。」


「じゃあさ、〝鳥さん〟の飼い主がJちゃんの恋人とかっ!?」



「J、〝鳥さん〟見て何か思い出さなかった?」


「ウーン…。」

Jが目を瞑って、眉間にシワを寄せて考える。


「名前とか…。」


「ウーン…。」


「何処から来たとか…。」


「ウーン…。」




「「………。」」


相葉さんと2人で息をのんでJの答えを待つ。




Jがパッと目を開き、

「かずぅ…。」


「なーに?」


「…ワカンナイ…。」




「そっかー。思い出せないかー。」


Jは寂しそうにコクンッと頷いた。



「Jちゃん、大丈夫だよ!!そのうち思い出すよー!!」


「そうだよっ!!とりあえず、この手紙の謎を解こうっ!!」



テーブルの上にある手紙を、3人で覗き込んだ。




⭐to be continued⭐