Jはあれからずっと、〝鳥さん〟の去って行ったベランダを窓から寂しそうに眺めている…。
相葉さんと俺は、〝鳥さん〟の足についていた紙を部屋の中に持ち込み、テーブルに広げて2人で覗き込んでいた。
広げた白い紙には墨で、
※
月 節分
日 こどもの日
時 建国記念の日
ヒント
雛祭りは九
前回の手紙の答えと今回の手紙の答えを、紙に書いて用意しておくように。
後日取りに行く。
大宮のじじいより
大宮のじじいより
※
と書かれていた。
「なにコレ…?」
「くふふふっ。また謎の暗号だね。」
「じいちゃんも好きだよねー。」
「くふふふっ。金田一少年とコナンくん再びだねっ!!」
「〝後日取りに行く。〟って…。誰が…?」
「にのちゃんのおじいちゃんだったら、怖いよねー!!」
「ホラーは勘弁してよー!!」
ふと窓の外を寂しそうに見つめるJが目に留まり、
「Jもこっちに来て、謎解き手伝ってよっ!!」
Jを呼んでみたけど、背中を向けたまま首をフルフルと横に振り来ようとしない。
あの鳥はJと何か関係があるのかな…?
見た事もない鳥…。
黒と金色の羽…。
真紅の瞳…。
Jとお揃いの指輪を持っていた。
(多分、お揃いだと思う。)
「それよりJ、あの鳥は一体なんなの?」
「鳥サン…?」
〝鳥さん〟の話題になり、やっとJがこちらを振り向く。
「そう、〝鳥さん〟」
「あー!!それ俺も思ったー!!見た事がない鳥だよねー?何の種類なのかなー?」
「んー?鳥サンは鳥サン…。」
「Jに懐いていたけど、Jの鳥?」
Jはフルフルッと首を横に振る。
「違ウ…。鳥サンはじめまして。」
「えっ!?初めて会ったのっ?」
コクコクッとJが頷く。
「でも、J、この間も〝鳥さん〟って言っていたよね?」
「んー。遠ク二鳥サン見エた…。」
「Jちゃん、この間言ってた〝鳥さん〟も、今日来た〝鳥さん〟の事なの?」
Jはコクコクッと頷く。
「実はさ…。〝鳥さん〟の左足にJと同じ指輪がはめてあったんだよね。」
と、Jの左手の薬指の指輪を見つめる。
「えっ!?それ本当なの?」
「多分…。だけど同じデザインで石の色が違うだけかと…。」
Jが俺に近づいてきて、指輪を見せてくれる。
「コレ…?」
「うん。多分これの石が紫バージョンだと思うよ。」
「じゃあさ、〝鳥さん〟の飼い主がJちゃんの恋人とかっ!?」
「J、〝鳥さん〟見て何か思い出さなかった?」
「ウーン…。」
Jが目を瞑って、眉間にシワを寄せて考える。
「名前とか…。」
「ウーン…。」
「何処から来たとか…。」
「ウーン…。」
「「………。」」
相葉さんと2人で息をのんでJの答えを待つ。
Jがパッと目を開き、
「かずぅ…。」
「なーに?」
「…ワカンナイ…。」
「そっかー。思い出せないかー。」
Jは寂しそうにコクンッと頷いた。
「Jちゃん、大丈夫だよ!!そのうち思い出すよー!!」
「そうだよっ!!とりあえず、この手紙の謎を解こうっ!!」
テーブルの上にある手紙を、3人で覗き込んだ。
⭐to be continued⭐