お店のテーブルに案内されて、俺の〝二十歳のお祝い〟、と言っておじさんとおばさんが色々と料理を運んできてくれた。

もちろん俺の大好物のハンバーグもある。



冷やし中華がテーブルに置かれると、Jの目がまたキラキラと輝いた。


「Jちゃん、冷やし中華が気に入ったみたいで、お昼もおかわり沢山したのよね。」

と、おばさんが笑いながら言った。

「冷ヤシ中華、美味シイー!!」


J…。貴方、まかない料理をおかわりしちゃったのね…。

 「ウチの冷やし中華は最高だからねー!!」

と言う相葉さんとJは意気投合して、

「「ねー。」」

と、楽しそうにしている。

 

料理を堪能した頃に、


「そろそろケーキを食べようかー?」


と、相葉さんがケーキを運んできてくれた。

ケーキには20本のロウソクが立ててあり、相葉さんが火をつけてくれた。




相葉さんのお母さんが、お店の電気を消すと、
お店のお客さんも含めみんなで、バースデーソングを歌ってくれた。


♬ハッピーバースデー 
トゥーユー
ハッピーバースデー
トゥーユー
ハッピーバースデー
ディアにのちゃんー
ハッピーバースデー
トゥーユー♬

「「「おめでとうー!!」」」


20本のロウソクの火を、

フゥゥゥーーーッ!!

消すと、



暗闇の中、相葉さんに、

「にのちゃん、二十歳のお誕生日おめでとうー!!」

と、ギュッと抱きしめられた。

顔が赤くなるのがわかる…。



パッと電気がついて、


お店のお客さんたちからも、

「おめでとう!!」

の言葉と拍手をもらって、何だか賑やかな二十歳の誕生日となった。


相葉さんから誕生日プレゼントに、何だか高そうでお洒落なTシャツを貰った。

「俺に似合うかなー?」

Tシャツを胸に当てて、相葉さんとJに見せると、

「くふふふ。にのちゃんに似合うと思うよー。」

Jも、

「かず、イイ。イイ。」

と褒めてくれた。






「じゃあ、そろそろ俺たち帰ります。今日はご馳走さまでした。Jの面倒までみてもらってありがとうございました。」

相葉さんのお父さんとお母さんにお礼を言うと、

「こちらこそ、Jちゃんがいてくれてお店助かったわ。明日からも宜しくねっ!!」

「J、明日も美味いもん食わせてやるからなっ!!」

Jは嬉しそうに頷いていた。



帰り際に相葉さんのお母さんが、

「にのちゃん、これ今日のJちゃんのバイト代」

と、茶封筒を渡してきた。

「えっ!?おばさん、貰えないよ。だってJまかない料理おかわりしてるし、今日もご馳走になっているし、これ貰ったらバチがあたっちゃうよ。」

「でも…。」

「にの、貰っとけっ!!」

おじさんもバイト代を受け取るように勧めてくるけど…。


「じゃあさ、Jが相葉家のお店を手伝うバイト代は、Jと俺が相葉家でご飯を食べさせてもらう、っていう事でどうかな?」

「ウチはそれでもいいけど…。」

「にの、そんなんで本当にいいのか?」

「うん、そっちの方が助かるよ。俺、食べる事に興味がないから、Jが毎日お腹空かせてしまうと困るからさ。」


「じゃあ、明日からウチでご飯食べて行ってね。」

「リクエストがあれば何でも言いな。」


「うん、おじさん、おばあさん、ありがとうっ!!」






「にのちゃん、送っていくよ。」

「相葉さん、大丈夫だよ。」

「いいじゃん、せっかくだから送らせてよ。」

「じゃあ、しょうがないなー。」

「くふふふ。行こっか。」





夜道を3人で傘をさして歩いていると相葉さんが、


「そういえばにのちゃん、あれからおじいちゃんの〝日時は後日知らせる。〟の、連絡来た?」

と聞いてきた。


「いや、それがまだなのよー。」

「いつ来るんだろうね?」

「解読した答えが違ったのかなー?」

「えーっ!?それはないんじゃない?」



Jが急にキョロキョロと辺りを見回している。

「どうかしたの、J?」

「ウウン。」



しばらく歩くと、またキョロキョロと辺りを見回す。


「Jちゃん、何かいるの?」


「んー。鳥サン、いたヨウナ気ガシタノ。」

「鳥さんがいたの?」

こんな暗くて雨が降ってる中、鳥なんて見えるのかな…?


「ウ…ン…。」

「Jちゃん、鳥さんが見えたの?」

Jはコクンと頷き、遠くを指差して、

「ズーーーーット。向コウにイ…タ…ノ…。」

「暗いし雨が降ってるし、見間違いじゃないの?」

「あ、でもウチの父ちゃんと母ちゃんが、Jちゃん耳がいいって言ってたから、鳥さんの声が聞こえたのかもしれないね。」




「…鳥サ…ン…。」

Jは寂しそうに呟いた。



アパートに着いた後も、Jは寝るまでベランダに出て、

「鳥サン…。」


と言ってキョロキョロと、〝鳥さん〟を探し続け着いた。




⭐to be continued⭐