学校にいる間もなんだかJが心配で…。

あんな喋りで本当に注文取れるのかな…?

相葉さんの家を出る時、寂しそうな顔をしてたよね…?

ちゃんとやってるのかな…?



気分は保護者なんだよね…。





席についてJの事を考えていると…。


「にのくんっ!!おはよー!!」

「あ、おはよう。」

同じクラスでゲーム仲間の山田が声をかけてきた。


「難しい顔して、そんなにクリアするのに難しいゲームなの?」

手にしていたゲーム機をひょいっ覗いてくる。

「えっ!?にのくん、ゲームの電源入ってないじゃん!!」

「あれっ?入ってなかった?」

「えっ!?気付いてなかったのっ!?にのくんがゲームしていないの珍しいよね。」

と、驚かれた。

ゲーム好きもあって、このコンピュータ専門を選んで、授業も毎日楽しいけど…。

今日は早く終わって欲しい…。








学校が終わり速攻で電車に乗って、相葉さんの家のお店に走って向かった。

傘が邪魔だな…。

走るのに傘が邪魔だったので、濡れるのを覚悟で途中で傘を畳んでまた走った。


「はぁはぁはぁー。着いたーっ!!」

ガラガラッ

と、店の扉を開けると、


「かずっ!!」

「うわぁっ!!」

お店の中に入るのと同時に、エプロン姿のJが抱きついてきた。



「あら、にのちゃんお帰りなさいっ!!」

「おー。にの帰ってきたかっ!!」


「おじさん、おばさん。ただいまっ。」

「ちょっと…。J苦しいよ…。」


ギューッと抱きついて離さないJに抗議をするけど、緩めてくれない…。


「Jー、俺、雨に濡れていて、Jも濡れちゃうから離してよー!!」


と、言って雨に濡れていない自分に気づいた…。

あれ?濡れていない…?

雨、かなり降っていたよね…?

こんな事以前もあったような…?

いつだっけ…?

あれは…。

あの子は…?

グルグルと考えていると、



「でねっ、Jちゃんがね、にのちゃんが帰ってくると言ってそこで待っていたのよー。」

相葉さんのお母さんの声で、現実に引き戻された。


「かず…足音シ…タ。」

「ずっとソワソワしてたもんな。Jは耳がいいんだなー。」

「ウンッ!!」

「かず、走ッテ…るの聞コエタ。」


「あ…れ…?
Jがスムーズに喋ってる…?」

「ああ。お店の常連さんがJちゃんを外国人だと思って、色々日本語教えてあげていたのよー。」

「みんな何故かカタコトでJに話しかけるから、ちょっと変な言葉遣いだけどな。」

「それでカタコトなんだ…。」

「Jは人懐っこいから助かるよ。」

「みんなJちゃんがいる間は毎日通うって、言ってたわよー。」


おじさんもおばさんも嬉しそうに笑って、Jの様子を教えてくれた。




ガラガラッ

「ただいまーっ!!」

「うおっ!!にのちゃん、Jちゃん何してんのっ!?」


「相葉さん、おかえりなさいっ。Jに何とか言ってやってよー!!離れてくれないのよっ!!」

「Jちゃん、にのちゃんがいなくて寂しかったんだねー。」


「ウン。かずイナク…テ、寂シかったー!!」

「あれっ!?Jちゃん上手に喋れるようになったんだねー。」

コクコクッとJが笑顔で頷く。



「そういえば今日、にのちゃんのお誕生日なんでしょー?ウチで夕飯食べていってよー。」

「にのの好きなハンバーグ作っておいたぞっ!!」

「えっ!?中華屋さんなのにハンバーグッ!?」

「にのの為なら、中華以外も作ってやるよー!!」


「あ、俺、ケーキ買ってきたから、ご飯食べたらみんなでケーキ食べようよっ!!」


「ケェーキ…?」

「うん。甘くて美味しいんだよっ!!」

「美味シイー!?」

Jが目をキラキラ輝かせる。

この子は食いしん坊だな…。






⭐to be continued⭐