お風呂上がりのJは、俺が貸してあげたTシャツとスウェットのパンツを着て出てきたが…。

Tシャツは大きめだからまだマシだが、パンツの丈が…。

やっぱりJには小さかったな…。


Jが髪がビシャ濡れのままだったので、相葉さんがドライヤーを持ってきて、

「Jちゃんおいで。髪を乾かしてあげるよ。」

と、Jを呼んで髪を乾かしてあげながら、

「にのちゃんの服は、Jちゃんには小さかったねー。俺のサイズなら合いそうだから、明日俺の服持ってきてあげるねー。」

と言っていた。

「相葉さんうるさいよー!!相葉さんとJが大きすぎるんだよっ!!!」

「くふふふ。そうだね。俺たち大きすぎるんだよね。それよりにのちゃん、早くお風呂に入ってきなよー。」

「はいはい。入ってきますよ。」

着替えとタオルを持ってお風呂場に向かった。






お風呂から上がり、タオルで頭を拭きながら部屋に入ると相葉さんが、

「にのちゃん、虫刺されの薬ある?」

と、聞いてきた。


「相葉さん、これでいい?」

と、テレビを置いている台の引き出しから、ムヒを取り出し渡すと、

「Jちゃん、虫刺され酷いんだよねー。」

Jの左首を指差す。

襟のあるシャツを着ていたので気付かなかったが、Tシャツ姿になると赤い跡が目立つ。


その跡って…。


「J、ごめんね。ちょっと見せてねー。」

Jの着ているTシャツの裾を摘んで少し上げてみると…。

やっぱり…。

赤い跡がたくさん付いている。


「相葉さん、それ虫刺され…。」

じゃない。と言いかけて、何も分かっていない相葉さんにわざわざ言うのも、と思い、
(説明するのも面倒だし…。)

「J痒くないんだよね?」

ウン、とJが頷くので、

「相葉さん、それ痒くない虫刺されだから、薬は塗らなくても大丈夫だよ。」

「えっ!?そうなの?」

Jの首に薬を塗ってあげていた相葉さんの手が止まる。

「うん。そうなの。」

相葉さん。だってそれ全部に薬塗ってたら大変よ…。


「そっかー。Jちゃん痒くないんだね?」

Jが頷くので、

「じゃあ、あとは薬塗らなくてもいいね。」

と、相葉さんも納得した。


テーブルに置いてあったドライヤーを手にした相葉さんが、

「にのちゃんも髪を乾かしてあげるからおいで。」

と手招きをする。

「えっ?乾かさなくてもいいよ。」

「ダメだよ。風邪引いちゃうよ。」

相葉さんに髪を乾かしてもらっていたJが自分の髪をツンツンと引っ張って嬉しそうにし、俺の腕を引っ張って相葉さんの前に座らせた。

Jは相葉さんに髪を乾かしてもらったのが、お気に召したんだな。




ブオオオー!!!

ドライヤーの風を当てられて、相葉さんの手が優しく俺の髪を梳きながら乾かしてくれる。

相葉さんの手…。

気持ちいいな。

目を瞑って相葉さんの手の感触に浸っていると、

「ぐふふふふ。にのちゃん、そんなに気持ちいいの?」

「うん。気持ちいいよー。人に髪を乾かしてもらうのもいいね。」

「毎日でも乾かしてあげるよ。」

「えー。でも毎日相葉さんがウチにいると、相葉さん大きいから邪魔だよ。」

「じゃあさ、小さく縮こまっておくから、大丈夫だよ。うひゃひゃ~。」

想像して思わず吹き出してしまう。

「はい。にのちゃんおしまいっ!!」

「相葉さん、ありがとう。」


ベッドに置いてある時計を見ると、0:00を回っていた。

それに気付いた相葉さんが、

「にのちゃん、二十歳のお誕生日おめでとう!!」

と、満面の笑みで言ってくれた。

「相葉さん、ありがとう。」

「また夜にお祝いしようねー。楽しみだねー。ケーキ買ってくるからねー。」

Jも目をキラキラさせている。


誕生日なのは俺なのに、相葉さんは自分の誕生日のように嬉しそうだ。


「それよりJ、じいちゃんからのプレゼントって何よ。」

「待ってましたっ!!何だろうねー。」

Jがスウェットのパンツのポケットに手を入れてから何かを取り出す。

テーブルの上に桐で出来た小さな木箱をコトンと置いた。

蓋には〝おおみ屋〟と焼印が押してある。


これがじいちゃんからの贈り物…。





⭐to be continued⭐