夕方、バイトから帰る途中に急に降り始めた雨。

今日は1日晴れだと、あの黄色の鳥の着ぐるみの天気予報は言っていたハズ…。


なのにどしゃ降りの雨…。



おまけに…。


アパートに辿り着き、部屋でのんびりゲームでもしようと思っていたのに。

俺の部屋の扉の前に、誰か蹲っている…。


誰よ…?

こんな時間から酔っ払い…?

ちょっと迷惑なんだけど…。

でもその人がいるから部屋に入れないので、声をかけるしかない…。


絡まれたら嫌だな。



と、思いながら、


「はあーっ。」
と、深いため息をつく。


意を決して、

「あのー。そこ、俺の家の前なんですけど…。」

「…。」

「あのー…。」

「…。」


反応がないので恐る恐るその人の肩を、ユサッユサッと揺らしてみる。


「あのー。中に入りたいんですけどー。」




蹲っていた人がゆっくりと、顔を上げる。


眠っていたのか、ボーッとした目で俺を見る。


色白で目鼻立ちがハッキリして、パッチリとした目。

まつ毛バッサバサの美人さんだ…。


でも、顔濃いいですね…。


この人、日本語通じるのかな…?
なんて思っていると、



「…ず?」

ん?

「か…ず…?」


名前を呼ばれた?

呼んだの、俺の名前だよね?


「はい?」

もう一度聞き直してみる。

「かず…?」


やっぱり〝かず〟って言ってるよね…?

俺、こんな人知らないよね…?

どうしよう…?


と、思ってると。




バタバタバタバタッと、足音がして。


「もーっ!!!にのちゃーんー!!!」

「何で帰る時に、声かけてくれなかったんだよー!!!」


びしょ濡れの賑やかなあの人が来た…。


同じバイト先で働く相葉さん。


俺より一つ年上の爽やかイケメン。


俺の想い人だ…。






蹲っていた人を見て、

「えっ!?にのちゃん、お友達が来てるの?」



そうよ、相葉さんに協力してもらって、立ち退いてもらいましょう!!


「あの、相葉さん…」

と、言いかけた瞬間。


「ちょうどよかったよー!!!俺、にのちゃんのお祝いするのに、たくさん食べ物持って来たから、2人じゃ食べきれないと思っていたんだよねー。」


いや…、俺、少食なの知ってますよね…?


「ほら、お友達も早く一緒に入ろうよー!!」

と、蹲っている人を立たせる。


いや…、お友達じゃないんですってばっ!!


「だから相葉さんっ…「にのちゃん、早く鍵を開けてよー!!!」」

「ねー。早く中に入りたいよねー。」

と、

蹲っていた人に話しかけている。

コクコクッと首を縦に振って、相葉さんに答えている…。

あー。意気投合しちゃった…?


ってか話を聞いてよっ!!!


「ほらー。にのちゃん早くー!!早くー!!」



相葉さんに急かされて説明する間も無く、見知らぬ蹲っていた人と、びしょ濡れの相葉さんを部屋に招き入れる事になった…。




しまった…!!

相葉さんは見かけによらず、せっかちな人だって事を忘れていた…。

そして、人見知りなクセに人類みな兄弟的な考えはやめてよね…。


相葉さん、別の意味でミラクル起こすんだから…。





⭐to be continued⭐


⭐⭐⭐
地震は大丈夫でしたでしょうか?

皆様のご無事をいのります…。