〜2019年5月17日(金)〜
5月といえども北のこの地の朝はまだ肌寒い。
ひんやりとした空気の中、ゆっくりと瞼を開ける。
目の前には、すぅすぅと眠る最愛の人の顔があった。
色白の小さな顔に、目を閉じているとより一層際立つ長い睫毛。
眠っていても分かるハッキリとした目鼻立ち。
寝ていても〝松本 潤〟感、半端ないな…。
潤の寝顔を見ながら自然に笑みがこぼれる。
サイドテーブルに置かれているスマホを手に取り画面を確認する。
05:20
5月17日(金)
5月17日金曜日か…。
おっ、今日は潤の入所記念日だな。
しかも潤の入所した時と同じ曜日だ。
同じ日にち、同じ曜日、なんだかそれだけで特別な日に思える。
起きるにはまだ早い時間だったが、目も覚めてもう一度寝るにしても頭が冴えてきて眠気も飛んでいた。
さてと…。
少し散歩でもしてみるか。
寝ている潤のおでこに、そっと唇を落とし潤を起こさないように、ベッドから起き上がり服を着替え出かける準備をした。
ホテルを出ると外の空気はより一層冷たくて、ブルっと震えてしまう。
「さっぶっ!!」
ホテルの前にある木々の茂った大きな公園に入り、公園の中を歩いていく。
一歩踏み入ると、大きな木の茂みで公園の外の風景は見えない。
鳥のさえずりも聞こえ、心地よい空間だ。
公園というよりも森だな。
トトロの森…?
潤がいると喜ぶかな?
いや…、虫がいるとダメか…。
そんな事を思いつつ、木漏れ日を浴びながら、奥へ奥へと進んで行く。
どれくらい歩いたんだろうか、
公園を抜けて道路を挟んだ反対側に、古めかしい洋風の店を発見する。
そこだけ異国にでも来たかのような雰囲気で、大きな窓にはカフェカーテンがあり、お洒落な外観の店だ。
カフェかな?
近づいてみると、古めかしい家具や食器が飾られており、窓台にはアクセサリーや懐中時計などが外からみえるよう置かれてあった。
どれも年代物のようだ。
こんな所にアンティークショップがあるんだ…。
大きな窓から中を覗いて見ると、木製のアクセサリーケースの中に入っている、銀細工の五つ葉のクローバーのネックレスが目についた。
左下の葉の端の方に小さな赤と紫のの石がちょこんと入っている。
五つ葉、俺たち五人と同じ数。
それに俺と潤のメンバーカラーの石が入っていて、潤に似合いそうだな…。
でも待てよ…、このネックレスどこかで見たような…。
どこでだっけ…?
ネックレスを見ながら考えていると…。
「おはようございます。何か気になる物でもありますか?」
店の扉が開いて、その中から白髪の人の良さそうな男性が声をかけてきた。
「あ、おはようございます。
この銀細工の五つ葉のクローバーのネックレスが素敵だなー、と思って見ていたんです。」
「五つ葉のクローバーのデザインはなかなかないデザインですよ。」
「ですよねー。」
「せっかくなので、中でゆっくりとご覧ください。」
と店内に案内された。
⭐ to be continued ⭐