映画三昧 #2625 ⭐️⭐️ ☆ ダークナイト(08) | juntana325 趣味三昧

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初公開以来の再見。作品の良さもあるが、MX4Dで作品を観たことがなかったので、それも手伝って、足を運んだ。作品自体は、名作と言っていいだろう。前作が序章なら、これが本編だ。


以前観た時と違うのは、昨年公開の「ジョーカー」を観たことだ。「悪のカリスマ」になったプロセスを語るこの作品は、ノーラン版「バットマン」のジョーカーを意識しているように思える。悪のカリスマとて、初めから悪ではなかった。社会の中で、白がグレーそして、黒へとグラデーションのように変化していく。この作品でも、地方判事のハービー・テントが、それをなぞるように悪漢に変わっていく。彼が、お守りように肌身離さず持ち歩くコインは、その象徴のようで印象的だ。




元々は、お馴染みのコミック バットマンが原作だが、クリストファー・ノーランのバットマンは、コミカルなシーンはなく、独特の世界観を表出している。「正義の味方」の勧善懲悪ものとは、一線を画す。この作品のジョーカーはまさにその名の通り、トランプの黒でも赤でもなく、しかも黒にも赤にもなれるアウトロー的な存在だ。善悪で分ければ、考えるまでもなく悪だが、ジョーカーは、善を悪に変える能力を持っている。そのおかげで、ゴッサムシティはおろか、バットマンまでもが目を曇らせてしまう。


バットマンが仮面を取らなければ、ゴッサム市民を一人ずつ殺すとか、2隻のフェリーニに爆弾を仕掛け、お互いの船に起爆装置を送りつけ、時間内に相手を吹っ飛ばさないと2隻とも爆沈させるとか、やることなすこと、良心の呵責を楽しむかのようで、これ程の悪はない。金のためとか、復讐のためとか、欲得のために悪事を働かないから、始末が悪い。小憎らしいほどに悪事に長けたジョーカーの存在感は、バットマンを超えていた。面目躍如たるヒース・レジャーの演技は、素晴らしい。


シリーズは3作あるが、この作品が、最も好きな作品だ。残念ながら、人の善行というモラルが、いかに脆いものか、ジョーカーは証明したように思える。

ところで、もう一つの目玉、MX4Dは、エンターテインメントをアトラクション化したかというと、疑問が残る。この作品自体がMX4D以前の作品で、全くその機能が加味されていないから、威力を発揮しなかったのか、それとも元々この程度のものなのか、推し量れない。ガタガタ椅子が動いたり、風が吹き出したりしても、相乗効果を感じなかった。やはり、昨年のスターウォーズで確認しておくべきだったと後悔しきり。


解説

DCコミックスの人気ヒーロー、バットマンの誕生を、クリストファー・ノーラン監督&クリスチャン・ベール主演で描いた「バットマン ビギンズ」の続編。ゴッサム・シティに現れた史上最悪の犯罪者ジョーカー。バットマン=ブルース・ウェインは、協力するゴードン警部補や新任地方検事ハービー・デントらとともにジョーカーに立ち向かうが……。2008年に製作・公開され、全米で当時歴代2位となる5億ドルを超える興行収入を記録し、全世界興収も10億ドルの大ヒットを記録。重厚かつ圧倒的なリアリティで支持を集め、第81回アカデミー賞にも8部門にノミネートされるなどコミック原作映画の歴史を塗り替えた一作。なかでも「悪のカリスマ」と呼ばれるジョーカーを演じたヒース・レジャーは撮影直後に急逝するが、本作が公開されるとその演技が絶賛され、アカデミー助演男優賞を受賞した。2020年7月、クリストファー・ノーラン監督の「TENET テネット」公開にあわせ、IMAX版と4D版でリバイバル公開。