映画三昧 #2576 ⭐️⭐️* キッド(1921) | juntana325 趣味三昧

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元日の企画として相応しい。新年初笑いだ。観客席には老若男女の他に、外国人もいる。日本語、中国語、英語、100年近く前の作品で、こんなに受け入れられる映画はあるだろうか?言葉がなくても万人に受け入れられるその存在感は芸術に近い。トーキーに反対だったチャップリン、トーキーによって、観る側に制約を与えると考えたのだろう。




新型コロナの影響で、アップがかなり遅れたが、この作品もスペイン風邪流行の最中で作られ、何らかの影響を受けたはずだ。しかし、チャップリンの描く世界は、100年経っても、人のハートの営みは変わらない事を再認させてくれる。




ストーリーは人情物で、いつの時代にも受け入れられる。何度観ても、心に温かいものが満ちてくる。チャップリンの作品ならではの、ユーモアとペーソスのセンスだろうが、この作品に限って言えば、子役ジャッキー・クーガンの名演だろう。無声映画でありながら、あの表情豊かな愛らしさで、喜怒哀楽を演じ切る。彼は、のちにクーガン法でも有名になったが、それほど子役としての才能があった証とも言える。




いつもの身体的能力の高さで笑わせてくれるシーンもあるが、今回は、チャップリンとキッドとの父子関係のような絆に、心を動かされる。キッドが、孤児院に連れて行かれるのを、必死に止めようとするチャップリンと、泣きながら車に乗せられるキッド。100年前の懐かしく感じられるはずの光景だが、今でも、現実問題として感じてしまうのは、不思議な気持ちにさせる。心を掴んで離さないのは、普遍的な人間愛を描いているせいだ。




チャールズ・チャップリンが親子の情愛を描いたヒューマンコメディ。共演はジャッキー・クーガン、エドナー・パーヴィアンス、トム・ウィルスンほか。無声。1971年にチャップリン自身の編集・作曲によるサウンド版(53分)が製作された。

『キッド』は、オープニングで「笑いと たぶん涙の物語」と語っている通り、映画史上初めて喜劇と悲劇の融合が効果的に取り入れられた長編喜劇映画だ。