映画三昧 #2438 ⭐️⭐️* HOSTILE ホスティル(17) | juntana325 趣味三昧

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久しぶりのイメージフォーラム。オンラインチケットサービスが始まって、以前よりも、足が運びやすくなった。世はオンデマンド時代、せめて席の予約ができるサービスは、どの映画館もお願いしたい。


おきまりの暗澹たる近未来世界。ゾンビもどきが徘徊し、人間を喰らう。まあ大体7,8割の近未来世界は、こんなもんだ。主人公ジュリエットは、幸い?(不幸)にして、そんな世界で生き残り、サバイバル生活をしている。こうなる前の世界での夫との暮らしをフラッシュバックさせながら、歯を食いしばって生きる。この未来世界に、絶望はあっても、生きる意味はあるのだろうか。荒涼とした風景を見ていると、そう思えてくる。




しかし、この作品は近未来ホラーではなく、遠大なラブストーリーだった。夫ジャックとの出会いから始まる。ジャックが経営する画廊に、雨宿りで入ったジュリエット。それは運命だとジャックは話す。その画廊では、ベーコンが展示されている。一見醜いが、よく見るとその美しさの本質に気がつくという。この冒頭の何気ないやり取りが、結末で浮かび上がってくる。


化学兵器でジャックはやられ、どこかに隔離されてしまう。その後は、何らかの理由で、人類はレッドデータアニマルになり、ゾンビが世界を支配する。




基地に戻る途中、彼女は車が横転した拍子に、骨折して車から離れられなくなる。暗くなり、ゾンビが現れ、いつ襲われるか分からない恐怖に直面して、それを紛らわせるように、ジャックとの日々を追想する。その塩梅が良い。助けを呼ぶが、それを断られると、益々、ジャックと過ごした記憶にすがるように、現実逃避していく。


一晩、その車で明かすことにする。何度か襲われるたびに、何とか凌ぐが、最後、ダメかと思った一瞬、ゾンビにすかさず銃弾を撃ち込んだ。彼女は、何とか生き延びた。しかし、生き延びた彼女に、希望はあるのか。この世界は空虚が埋め尽くしている。




彼女が、ふと気がつくと、撃たれて死んだはずのゾンビが、近づいてくる。ついに喰われるのかと諦めたその時、彼女は気がついた。そのゾンビが、化学兵器によって姿を変えてしまったジャックだと。宇宙しか知らない運命、ベーコンの絵、すべてが、この瞬間の伏線だったのか。二人の再会で、クズのような世界で生きている意味はなくなった。文学的なこの作品、やっぱりフランス映画って良いなぁ。



解説

未知のクリーチャーがはびこる終末的世界を舞台にしたヒロインのサバイバルを、超自然的なドラマやロマンスなどを盛り込み描くフランス製サバイバルホラー。爆発的な伝染病によってわずかな人類だけが生き残った地球。生存者たちは過酷な状況下で食料とシェルターを求めてさまよっていた。廃墟と化した街へと車を走らせ、物資や食料を探していたジュリエットは、ベースキャンプに戻る途中で車が横転。足を骨折し身動きが取れなくなった彼女は荒野の真ん中でひとり取り残されてしまう。やがてあたりが夜の闇に包まれ、ジュリエットは人間ではない未知の「何か」が近づいてくる気配を感じ……。監督はクエンティン・タランティーノ、クリント・イーストウッド、リュック・ベッソンらのもとで助監督を務め、本作が監督デビュー作となるマチュー・テュリ。