映画三昧 #1930 ⭐︎⭐︎* ラストレシピ 麒麟の舌の記憶(17) | juntana325 趣味三昧

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人気料理番組「料理の鉄人」を手がけた演出家・田中経一のデビュー小説を、二宮和也主演、「おくりびと」の滝田洋二郎監督のメガホンで映画化。二宮扮する天才料理人が、歴史の闇に消えてしまった幻のレシピを探す過程で、思いがけない真実が明らかになっていくさまを描く。1930年代、日中戦争前の満州国にやってきた天皇の料理番・山形直太朗は、陸軍からの依頼で112品目から構成される伝説のフルコース「大日本帝国食菜全席」を考案する。しかし、そのお披露目の直前、とある陰謀によって「大日本帝国食菜全席」のレシピはいずこかへと失われ、歴史の闇に消えてしまった。それから70年後の現代、一度食べればどんな味でも再現できる絶対味覚「麒麟の舌」を持ちながら、料理への情熱を失ってしまった天才料理人・佐々木充は、中国料理界の重鎮である楊晴明という老人から、失われたレシピを探して欲しいと依頼される。二宮が主人公・佐々木を演じ、山形役の西島秀俊のほか、綾野剛、宮崎あおい、西畑大吾、竹野内豊らが脇を固める。企画に秋元康が名を連ね、「永遠の0」の林民夫が脚本を担当。


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マイレージがたまって、またまた1ヶ月のフリーパスポートをゲット。となると、普段有料では観ない作品を観てみたくなる。最初に選んだのがこの作品。


しかし、舐めてかかると、意外や意外の作品だったりする。この作品も、お金を出しても損はしない。筋書きは、どこか既視感を覚える。「永遠の0」を彷彿させるような内容だからかもしれない。戦後70年以上経ても、その影は、なおも現代に及ぶ。歴史を遡るストーリーは、自ずとそんな印象で終わる。


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いつもそうだが、料理映画は、採点が甘くなる。冒頭の冬瓜のあんかけ、あゆの春巻き、餅入りのロールキャベツ、キャビア和えのうどん などなど完成した料理は、その作られる段階から、すでに美味だ。根が食いしん坊だから、この料理は、どこかで食べられないものかと思いを巡らせたり、餅を入れてロールキャベツを作るなら、自分でも出来そうだなどと、変な風に思いを巡らせる。


そこに絡んでくるのが、独善的な料理人佐々木充。二宮和也のイメージでは、弱い気もするが、後半の人情物の展開になると、照準が合ってくる。二宮和也というと、どうしても「母と暮せば」の吉永小百合の息子役がダブってしまう。さらに、山形役の西島秀俊も、料理に対する非情さという面で甘すぎる気がする。


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充は、早くに肉親を失い、自分のアイデンティティが見つからない。ただ、天才的な味覚が唯一のアイデンティティだ。その彼が、物語の中で、時空を超えて、自分探しの旅をする。(途中から結末はおぼろげながら見えてくるが)なぜ、彼が超人的な味覚の持ち主なのか、そして、なぜ、一人ぼっちなのか、それが解明された時、彼の命に託された、沢山の人達の思いが、彼の胸に飛び込む。積み上げられたレシピに対する、多くの人々の情念は、畏怖さえ感じさせる。


料理とは、元来、お金を貰って食通を唸らせるために作られるものではなく、家族や友人の笑顔のために作られるものなのだ。あまりにも、ヒューマンドラマすぎて新鮮味に欠ける所もあるが、ラストは、少なからずジーンとくる。


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