映画三昧 #1858 ⭐️⭐☆ 私は告白する(53) | juntana325 趣味三昧

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見知らぬ乗客」のアルフレッド・ヒッチコックが1953年に監督た作品で、ポール・アンセルムの戯曲の映画化。脚本はジョージ・タボリとウィリアム・アーチボルドの共同執筆。撮影は「見知らぬ乗客」のロバート・バークス、音楽の作曲指揮は「吹き荒ぶ風」のディミトリ・ティオムキンのの担当。主演は「終着駅」のモンゴメリー・クリフトと「人生模様」のアン・バクスターで、カール・マルデン(「欲望という名の電車」)、ブライアン・エイハーン(「大地は怒る」)、O・E・ハッセ、ロジャー・ダンらが助演する。


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ヒッチコックという古い名前なのに、中高年に負けないくらい20代、30代の男女が目立つ。お陰で、劇場は割と混雑している。ただ、この作品は多少混雑しても、スクリーンで観る価値がある


ヒッチコックお得意の、犯人に間違えられて、追い込まれていくストーリーだが、いつもと違うのは、どこかに逃亡する訳ではなく、ただ、じっと捕まるのを待つという、心理劇に近い。


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告解を他人に漏らしてはいけないという、神父の守秘義務を上手く利用したサスペンスは、緊張感に溢れている。キャスティングも良い。誠実そうなモンゴメリー・クリフトのマイケル神父役、凄い馬力の警視役カール・マルデン、マイケルを愛し続けるアン・バクスター、それに、したたかな移民の雑役夫ケラーに扮するO・E・ハッセ。


特に、モンゴメリー・クリフトの神父は、この作品の全てと言っても良いかもしれない。告解の掟を守るために、自分が訴えられ、有罪になったとしても、それを良しとするのか。あるいは、その掟を破って口を開くのか。その板挟みのマイケルに、ケラーが揺さぶりをかけ、警察が追い詰めていく。心理サスペンスとしては申し分がない出来だ。


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実直過ぎるマイケルに、自分の命をケラーのために捧げるつもりなのかと問いたくなるが、彼の思いつめた苦悩の表情をみると、決意は固そうだ。一方、ケラーは、小市民的な所が、根っからの悪党には思えず同情してしまう。考えてみれば、ケラーならずとも、普通の人間なら、命惜しさに、助かる手立てを、必死になって実行するはずだ。甘んじて罰を受けようとするマイケルと、絶対罰を受けたくないケラー、両者の鮮明な対比が、物語を分かりやすくして、作品に熱中させる。久しぶりに観たが、飽きることなく、あっという間の90分だった。やはり、ヒッチコックは偉大だ。


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