映画三昧 #1321 ルーム(15)⭐️⭐️☆ | juntana325 趣味三昧

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アイルランド出身の作家エマ・ドナヒューのベストセラー小説「部屋」を映画化。監禁された女性と、そこで生まれ育った息子が、長らく断絶されていた外界へと脱出し、社会へ適応していく過程で生じる葛藤や苦悩を描いたドラマ。

第88回アカデミー賞で作品賞ほか4部門にノミネートされ、息子とともに生きようとする母を熱演した「ショート・ターム」のブリー・ラーソンが、主演女優賞を初ノミネートで受賞した。監督は「FRANK フランク」のレニー・アブラハムソン。7年前から施錠された部屋に監禁されているジョイと、彼女がそこで出産し、外の世界を知らずに育った5歳の息子ジャック。部屋しか知らない息子に外の世界を教えるため、自らの奪われた人生を取り戻すため、ジョイは全てをかけて脱出するが……。

誘拐事件を扱った作品は、多数。最近でも、「白い沈黙」「プリズナーズ」「最愛の子」などといった、人間ドラマを織り込んだ重厚な作品もある。サスペンス、ミステリーの王道。

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多くの作品は、8,9割方、事件解決までのストーリーで構成されている。犯人探、救出劇だったりがメインになる。ところが、この作品は、それが前半約半分。後半半分は、むしろ前半より、もっと残酷なストーリーが展開する。犯人の逮捕劇などはなく、救出されたジョイとその子供のジャックのその後に話が及ぶ。観ている方も、これには触れずに、終わってくれればと祈ってしまう。

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この親子は、これから社会の中で、どんな辛い目に会うだろう。容易に考えつくことだけでも、かなり恐怖だ。それでも、母親ジョイはまだしも、息子のジャックの行く末を思うと、気持ちは沈んでくる。「世界」に出ることはできたが、彼にとって、「ルーム」(親子二人だけの世界)がすべてだった年月が幸せだったかもしれない。井の中の蛙の心境を思うと、何が解決して、何が解決していないのか、複雑な気持ちになる。

母親役のブリー・ラーソンは、観る方も想像できないような状況下の女性を、想像力と説得力あふれる演技で、見事に演じた。アカデミー賞を受賞したことに異議はない。しかし、この子役ジェイコブ・トレンブレイのそら恐ろしい才能には脱帽だった。飛んだ運命を背負い込んだ少年を、なぜ、こんなにも説得力ある演技で演じられたのか。10歳にも満たない子供から目が離せない。

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