映画三昧312 バグダッド・カフェ(87)⭐⭐★ | juntana325 趣味三昧

juntana325 趣味三昧

自分の興味のあることを、自分本位に勝手に解釈するブログです。

photo:01


パーシー・アドロンが1987年に製作した「バグダッド・カフェ」のディレクターズ・カット版。アドロン自らがオリジナル版を再編集し、色・構図を修正して完成させた。

最初のバージョンが公開の頃は、ミニシアターが数多くあって、様々な色の映画作品が上映されていた。それを思うと、あの時代のノスタルジーが重なり、一抹の寂しで胸が痛む。

話は何かギスギスした雰囲気で始まる。主人公二人は、夫に愛想を尽かし、トゲトゲしい感情を隠さない。そんな二人が、バクダッドカフェを舞台に、ウォームハートな物語を繰り広げる。アメリカ黒人とドイツ観光客が、こんな形で、心通わすなんて、まったくのファンタジーだった。和洋折衷のような違和感が、マリアンネ・ゼーゲブレヒトの笑顔で中和されながら、心地よく時間がすぎる。このバクダッドカフェは、いつしか時が止まっていた。

主題歌の楽曲と渇いた映像美が相まって、この物語は、エキセントリックな世界へと誘ってくれる。どこの国の話しでも構わない、このドラマに、国籍も国境もなくなっていた。パーシー・アドロンが、ドイツ人だからこそ、アメリカで、こんな傑作を作れたのかもしれない。