映画三昧 056 ドクトル・ジバゴ ⭐⭐⭐ | juntana325 趣味三昧

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「アラビアのロレンス」のデビッド・リーン監督の文芸大作がニュープリントで登場。生きているうちに、もう一度この作品を映画館で観るとは思っていなかった。半世紀前で40億円の制作費、今だと約20倍の800億円。現在、映画制作費が高額でも200億円前後なので、破格の制作費。ちなみに、アラビアのロレンスはさらに30%増しの制作費をかけている。デジタル処理やCGなどを使っていない分、すべて実写という贅沢さを考えれば、千円のチケットは安すぎだ。
果たして、デビット・リーンが今の時代に映画人として生きていたとしても、この映画史上に残る傑作はできていただろうか?映画は制作費だけでは計れないが、それを掛ける事ができる環境があったことは、素晴らしい時代だった。
時が経つと、不思議なもので、頭の中でストーリーがすっかり書き変わってしまう。今日観て、こんな単純なストーリーだったとは思わなかった。オマー・シャリフ、ジュリー・クリスティ、ジェラルディン・チャップリン、アレック・ギネス、ロッド・スタイガー、主だった5人と「壮大な歴史」で物語は展開する。デビッド・リーンは、愛し合う二人の姿を、歴史の暗い影を引きずりながら、淡々と描いていく。かと言って、歴史をつまびらかにして、くどくしてしまうわけでもない。たかが、恋愛ドラマなのに、3時間以上の長尺にして、細かい描写を入れたり、省いたりしてながら、テンポ良く仕上げ、時間の重さを感じさせないのは、凄い。大河ドラマ的映画は、監督の力量がよく分かる。
それにしても、「ラーラのテーマ曲」は、断片的な幸せしか望めないあの時代に調和し、今なお少しも色褪せないのは、本当に素晴らしい。