明日、元からの使節団が到着するという日の夜、
王妃の私室でホンニムとムギヨルは向かい合っていた。

「とうとう明日になりました。
ホンニム。私は今まで、そなたの計画に協力してきました。
でも、今は後悔しています。
ホンニムに万が一のことがあったら王様は私を許さないでしょう。」

「申し訳ありません。
王妃様を巻き込むつもりはありませんでしたが、
チャンフィ様にもしものことがあったらきっと私も生きておれないでしょう。
私は、チャンフィ様がお小さい頃から、
ただただお守りし、愛してまいりました。
そして、今回も同じことをするだけです。」

ムギヨルは、ふっと溜め息をもらした。

「ホンニムの心の中は王様でいっぱいなのですね…。」


ムギヨルは、迷いがあるように瞳を揺らしながら、ホンニムを見た。

「ホンニム。ひとつ願いを聞いてくれませんか?」


「なんでござましょう。」


「…。明日は、どうなるかわからぬ。
今宵だけでよい。世継ぎを産む為でなく、私をただの女として抱いて欲しい。」


ホンニムは驚き、顔を上げた。
ムギヨルは俯きながら続けた。


「ホンニムの心には王様しかいない。わかっている。
けれども、わかって欲しい。私もそなたを愛しているということを…」


「そんなことをおっしゃってはいけません。
いつも、凛として気高くお強い王妃様を尊敬しておりますのに…」


ムギヨルは、困惑したホンニムを涙をたたえた瞳で見つめた。


「皆が、私を強いという。けれども、私も愛する男の身を案じることしかできない弱い女です。
ホンニムにだけはわかっていてほしいのです…。私の弱さを…。」


「ですが…!」


「王様は私の気持ちをわかっている。 そこにつけ込みたくはない。
でも…!今一度だけ…」


ムギヨルがホンニムの手を取り涙で潤んだ瞳で見つめてきた。







ムギヨルの寝台に仰臥したホンニムは、

全身にムギヨルの唇を受けながら、

この哀れな王妃の願いを跳ね除けられないでいた。

もし、自分がチャンフィを愛さなければ、

二人は、仲睦まじい夫婦になったかもしれない。

ムギヨルの幸せを奪ったという思いがホンニムの頭から離れなかった。
ムギヨルの唇がホンニムのものに触れたとき、
ホンニムは慌てて、体を起こした。

「王妃様…いけません。」

「ただの女と申したはずです。
お願いです。
今宵だけ、私に夢を見させて…。」

ホンニムは愛撫を続けようとするムギヨルを
自分の胸の上に抱き寄せた。

「今宵だけ、王妃とは呼ばないで。
ムギヨルと…」

ホンニムは、迷ったように瞳を揺らしたが、
最後には王妃の名前を呟いた。

「…ム…ギヨ…ル…」

自分の名を呼ぶホンニムの声を聞いたムギヨルの瞳からは涙が溢れ出した。
その顔を見たホンニムは、
ムギヨルの顎に手を掛け、
上に向かせると優しく口付けた。



そのまま、ホンニムはムギヨルを自分の腰に跨らせ、下から中へ入っていった。
ムギヨルの腰を摑み、奥まで突き上げると、

ムギヨルは体を仰け反らせ、快感に打ち震えた。
目尻からはさらに涙が溢れ、
ムギヨル自身も、この涙がホンニムとひとつになった喜びの為か、
報われない自分の恋を思ってなのかわからないまま、
ホンニムの胸に手をつき腰を揺らした。





ホンニムは、寝台で眠るムギヨルを残し、部屋を出た。



明日のことを考えると
もしかしたら、今夜がチャンフィの顔を見る最後の機会かもしれないと思い、
自然と足がチャンフィの寝所へ向かった。



チャンフィの寝台に歩み寄ると、
そこは、もぬけの殻だった。
慌てたホンニムは、チャンフィを探す為に部屋を出た。