晴天。
きれいな青空。
寝袋やテントを日なたに広げて、町へ。
もう一週間以上メールチェックもしていない。
昨日確認しておいたネットカフェに向う。

自転車がおかしい。
やけにガタつく。
ひっくり返して見ると、後輪のタイヤがボロボロ、しかももう軌跡は円を描かず楕円になっていた。
だめだ、こんな自転車では走れない、危ない。

やるだけの事はやってみる。
スポークのフレ取りを試みる。少しだけましになるもタイヤ自体の歪みはどうしようもない。
サイクルショップにいってみる。
しかし、こんなサイズのタイヤは見た事ないと。
ロンドンじゃないと見つからない、悪いけれど何もできないよと。
思わず笑顔になってしまった。よし、そろそろ潮時かな、、、

キャンプサイトに帰ると、スタッフのおばさんが怒っている。
チェックアウトが10時だったらしい。
思わず、もう一泊するからと言ってしまう。
いい天気、風もない、サイクリングにうってつけの土曜日。

学校あてに問い合わせのメールを出す。
自転車が壊れたので、バスか電車でWhitbyまで直行しようと思うが、早めに宿泊が可能かどうか。
巨大なスーパーで買い物を楽しむ。
ニットとセータを買う。2リットルのコーラ、スパゲッティ1キロ。ヨーグルト3つ。
インフォメーションでWhitbyまでの交通機関を調べる。
学割で事前予約すれば26ポンド、5000円くらい。わずか3時間の距離。
日曜日は電車がないとのことで、月曜日になると。
この町にもう一泊するか、、、
キャンプ場も居心地がいい、スーパーもネットカフェもある。
自転車が壊れた、修理しようとしたがダメだった。
これはもうどうしようもないと、そう言える。
よし、自転車旅行は、これで終わり。

旅行会社に電話でチケットの予約を試みる。
しかし何故か値段が違う。50ポンドだと言われる。
全く話が噛み合ない、うまく聞き取れない、、、
事前予約を諦め、当日駅で買う事にする。

キャンプサイトまでがたつく自転車を走らせながら、
なんだか妙なハイテンションに。
分かっていた。本当は後悔しているんだ。
空しくて空しくて、どうしようもないんだ。
明日走ろうかなと、考え始める。
もう何十回も諦めたんだから、またいつでも諦められる。
いつ諦めてもいい。
だからあと少しだけ、走ってみようかな。

夜。
キャラバンの中で、並んでテレビを見ている老夫婦を見て、
どうしようもなく寂しくなる。
日本に帰りたくなる。
弱いなぁ、自分はと思う。

Spalding Lake Ross Camping Site。
痛切に、ひとりだった。