だいぶ前の話だけれど。

Kという前学期の生徒が学校に来てこんな事を。

「みんなでアフリカの子供達にクリスマスプレゼントを送ろうよ」

 

要するに、どこかの教会の企画だったわけだが、

Kはノリノリ。チラシとプレゼントを入れる靴箱、

それを装飾する包装紙を手に興奮している。

「アフリカにはその日のご飯も食べれずに死んで行く子供達が、、、

そう、この瞬間にも、何人もの子供達が死んで行っている」と。

 

そのチラシを見せてもらって、僕は正直、笑ってしまった。

シューズボックスの中にはプレゼントとして

入れていいものといけないものがある。

 

入れてはいけないリスト。

オモチャの戦車とか拳銃。暴力を連想させるから。

生物。肉とか魚、ハム。腐るのと、狂牛病などの問題から。

さらにはチョコレート、虫歯になるから。

最後に現金。理由は分からない。

 

次に、プレゼントとして推奨されているリスト。

その筆頭に、歯ブラシ、歯磨きセット。

ビスケット、クッキー。

他にはぬいぐるみなどの玩具。

簡単な化粧品など。

 

「それはいいアイディアだ。部屋を探してくるよ!」

「もうすでに1個作ったけれど、2個目を作るよ!」

ノリノリな、優しい顔をした生徒達。

 

 

 

で。

 

1、飢餓に苦しむ子供達に、歯ブラシ。

  ギャグでしょ?冗談抜きで、、、

  チョコレート、栄養価高いよ。

  虫歯だけでは死なないよ。

 

2、こんな大量のシューズボックス大のクリスマスプレゼントを

  アフリカまで輸送するコストはいったいいくらほどの物?

  そのお金で他に直接的な事が何かできない?

 

3、部屋にあるガラクタかき集めて送るより、現金送るのが一番いいんじゃない?

 

 

分かっている。

これは豊かな国に住むクリスチャンの

クリスチャンによるクリスチャンの為のX'mas Present であって、

アフリカで本当に飢餓に苦しむ子供達へのプレゼントではない。

実際届けられるのも、アフリカのキリスト教会に所属する、

明日の食料を心配するほどは貧しくない、ちゃんと服を着た子供達へだろう。

ちゃんとカメラの前できらきら光るシューズボックスを持って微笑める、

「写真写りの良い」子供達へだろう。

 

あるいは、

ひと月先の素敵なクリスマスを、

「靴箱に収まりきらないほどのプレゼント」と共に過ごす為、

「ちゃんといい事もしたよね」と呵責なく贅沢に微笑む為の

彼らへのプレゼントだ。

 

 

そういった疑問を抱かない人が、ここでは多いと言う事はもう想像できる。

でも彼らは「いい人」なのだ。

シューズボックスを求めて自分の部屋に駆け戻る事も、

プレゼントを探しに町に出て行く事も厭わない、

ある種の「力」を持った人達だ。

だからこそ、こういった善意の力に、

きちんとした方向性が与えられていない事が、惜しい。

彼らを導く人達よ、もう少ししっかりしろよと思ってしまう。

(確信犯かもしれないが。。。)

 

 

僕はクリスマスプレゼントを作りませんでした。

何もしませんでした。

何かをしている彼らにも劣るでしょう。

でも、何もしなかった事の理由はずっと考え続けています。

何かをした彼らはもうキラキラ光る靴箱の事は忘れていますが。

 

今回の旅行中には、答えを出そうと思っています。

僕ならシューズボックスに、何を詰めるか。