HighTeaの後、部屋に帰ろうとすると、Sに呼び止められる。
今日の授業での事を謝りたいとのことだった。

Sはドイツ人で、ピアノの教師をしていた。
少し変わったパーソナリティを持っていて、
とにかく感情の起伏が激しい。
例えば。

授業の最初に宿題の答え合わせをする。
Sは宿題を忘れていると、目に見えて不機嫌になる。
会話の途中で彼女の分からない単語を使ってしまうと、
「私はそんな単語は知らない」と会話を打ち切られてしまう。
授業中に分からない事があり質問しても要領を得ないと、
「私もうやる気ありません」モードに突入し、反応がなくなってしまう。
席が隣なので、そういう時、ちょっと困る。

今日は「Informal letter」を実際に書いてみようという授業。
その前に書く内容をペアでディスカッションして決めるというものだったが。
ここでSが「あなたは私を分かってくれない」モードに突入。
一人で勝手に書き始めたので、ちょっと強く言ってみる。
「先にプランを二人で建てて、二人とも同じプランに沿って書かないとダメだよ」と。
教師のベッキーも助け舟を出してくれて、まあなんとかプランだけは二人で建てたのだが。
僕が書き終えると、「あなたはWritingがうまいけど、私はダメだ、その証拠を持っている」とかなんとか。
正直ちょっとうざったく、さっさと課題を提出して教室を出た、というのが「今日の授業での事」

「私は今日よくなかった、本当にごめんなさい」
そう言われて悪い気はしなかったが、ちょっと拍子抜け。
自己中心的で在る事には時々僕も腹を立てるが、少し羨ましくもあったから。
でもきっと授業の後、ずっと気になっていたんだろう。
だからHighTeaが終わってわざわざ僕を追いかけて、一言謝ったのだろう。
気にしなくていいよと言って別れた。

最近、他人の見ている風景というものの距離について考える。
それは果てしなく遠く感じたり、時には同じ風景を見ているとも思えたりする。
今日ほんの少し、Sの見ている風景を覗けた気がした。
まあ明日からまた元のSに戻るんだろうけれど。
なにぶん気分屋さんだから。。。
また授業中に隣に座っているSの横顔を見ながら、
「こいつとは遠いなぁ」と思うんだろうなぁ。

苦笑まじりの「やれやれ」です。