グゲ遺跡、来ました。
で。
これは、、、なんというか、、、、

この辺りの地層がまず凄い。
土林という浸食された地形。「グランドキャニオンの百倍」だとか、「風の谷のナウシカ状態」だとか言われるのがそれ。
そんな中を日の出と共に2時間歩いて中国人のテレビ局のランクルをヒッチして辿り着いたグゲ遺跡。

声が出なかった。言うべき言葉がなかったのかもしれない。
人間の作り出す芸術の美しさ、そしてそれを思想の名の下に破壊した人間のおぞましさ。

ここの壁画、仏像は本当に素晴らしい。
そしてそれらのほとんどは、文化大革命の時に破壊されてしまっている。
金地の縁だけ削り取られた壁画、胸についた宝石だけえぐり取られた仏像。楽しむかのように徹底的に破壊された大仏、悲しい顔を浮かべた頭部だけ残された菩薩像。奇跡的に助かった忿怒像。
手が届かなかったのだろう、美しい天井の壁画。
浮かんで来る数々の疑問と、背中に浮かぶ気味の悪い汗。

人間はかくも美しい。
そしておぞましい。

何度呟いただろう、
「にんげん、、、にんげん、、、にんげん、、、」

分かっている。僕は分かっている。
今日グゲで見た美しさも、そしておぞましさも、それらは、
今のこの僕の中にもあるもの。

僕だって、「ある条件下なら」、
あんな微笑みを浮かべた素晴らしい仏の絵を描くし、
そしてまた、「ある条件下なら」、
ツルハシでそれらを砕くのだ。ゲームを楽しむかのように。

一つ言える事はそれが人間だということ。
それが「僕でもある」ということ。

 

 

 

 

 

乾屍洞。400年前のミイラ達が今も残る。ラダックーグゲ戦争でラダック軍に殺された兵士達。全員首がないらしい。場所が分からなければ、グゲのチケット売場で聞けば教えてくれる。