5月23日、朝。
零公里のバスターミナルに降り立つ。
全ての荷物を抱えて、トラックのヒッチ待ち。

前夜バスを調べに来た。
迷彩色に塗られたオンボロバスが300元ほどという情報もあったが、
もう走っていない様子。なくなったのか。
寝台バス、イエチョンからアリ。
中国人料金、上舖450元、下舖500元という。
しかし外国人は800元。約12,000円、、、無理だ。
中国人のフリをしてチケット購入をしようかとも考えたが、
見ているとチケット購入時に身分証の提示を求められている。無理か。
800元が交渉で落ちるかとも思ったが、、、シーズンなのか100元も下がらない。
ヒッチなら相場は350元くらいからという。
やはりバスは諦め、トラックヒッチを決心した。

トラックステーションを回り、アリまで行くバスを探す。
アリまで向うのは一日10台ほどだという、方向が同じでも首を振られる事が多い。
洗車場で洗車中のトラックが一台いた。
ナンバープレートが四川省ナンバーだったので期待していなかったが、聞いてみた。
そうすると、アリまで行くと言う。今日の北京時間、夜中12時発。
やった、早速交渉を開始。
ドライバーは検問がある事、僕が通行証を持っていない事をだいぶ不安がっている。
「大丈夫、僕の友達が何人も行ってるけど検問なんてないから」と、まあ嘘も方便。
小柄でちょびヒゲのこのドライバー、乗り気になって来た様子。
値段交渉開始。
500元と言われたが結局350元に収まった。
これなら悪くない価格。
ドライバーも悪い人ではなさそう、それに漢人なので筆談も可能だ。
積荷もそんなになさそう。アリまで36時間だという。
名前を交換し、トラックのナンバーを控える。
ドライバーがすぐそこの招待所に泊まっているというので、部屋番号を聞いて。
完璧だ。オレ完璧だ。
明後日には憧れの西チベット、、、そう思うと胸が高鳴ったが、、、甘かった。甘すぎた。

出発までまだ10時間。
イエチョンに買い物に出る。
36時間のトラックの旅、高山病に備えて、水4・とコーラ、食料を購入。
で、戻ってみると、さっきのトラックがいない。
洗車が終わって招待所の前に停まっていたのだが、ない。
探しまわった、遠くガソリンスタンドまで行ってみたが、やはりいない。
買い物にでも行ったのだろうと気長に待ってみる。

15時を過ぎて。
トラックはまだ帰って来ない。
聞いた招待所の部屋をノックしてみる。
反応なし。
フロントに聞いてみる。
その部屋には今は誰も泊まってないと。

あわてて次のトラックを探す。
また洗車中のトラックがあったので聞いてみる。
運良くというかまたアリ行きだった。
値段交渉の結果、350元で。
出発は2時間後の18時だという。
ふう、、、ひと安心。
先ほどの事もあるので、17時、一時間前に洗車場の前に行ってみる。
さっきのトラックが、また、いない。
洗車場の人に聞いてみると、たぶんもう出発したと。
ふう、、、なぜだ、、、いったい。

19時を回って。
またトラックストップを回る、降り出しに戻った。
木材運搬の車があってもうすぐアリに行くという。
ウイグル人の二人組ドライバー。
しかし3泊4日だという。値段も500元だと。
なんとか今日中に出発したいが、
足下を見られているのか、値切っても落ちない。

するとそこへ、一番最初のドライバーがひょっこり現れた。
思わず彼の腕を掴んでしまうくらい興奮してしまった。
しかし朝は乗り気だったドライバーの態度がおかしい。
突然渋り出し、「辺防検査」と大きく書き、怖い怖いと。
どうも招待所のフロントに入れ知恵されたらしい。
まあ、出発する時にまた話しようやと。露骨な値段つり上げ交渉。

また振り出し。
トラックストップにはほとんど車がないので、道路上でトラックをまた待つ。
合図してもなかなか止まってくれない。
するとそこへ、さきほどのウイグル人のオレンジトラックがやってきた。
止まって、「日本人、450でどうだ」と。
のった。450は高いし3泊4日は遅いが、、、
この埃っぽい街にこれ以上長居したくなかった。
そしてこのウイグル人二人と僕、3人の旅が始まった。
5月23日20時53分。

彼らはアブドゥールとイザーム。
アブドゥールが28歳でリーダーらしい。
僕と値段交渉をしていたのも彼。
強欲な奴だが、一緒になってみると面白い奴だった。
ウイグル語を教えてもらい、一緒に歌を歌う。
二人が運転を交代し3泊4日ぶっ通しでアリまで走るはずなのだが、、、
いつもアブドゥールの番になると、サボリ時間、休憩時間が入る。
イザーム、イザーム、運転代わってくれと。

零公里から25キロ地点で検問があると聞いていたがなかった。常設ではないらしい。
80キロ地点で舗装道路が終わる。
急激にスピードが落ちる。木材を満載しているため、平地でも時速30キロほど、
恐ろしくきれいな星空。
高山病に効くとされる「紅景天」の作用なのか、トイレが近いほかは快適な旅。
早朝、160キロ地点で検問。
トラックキャビンのドライバーが寝るスペースで毛布をかぶってその上に荷物を置いてもらい突破。
夜が明け、180キロの道標。ここまでで12時間経過。