約束通り、 
釜山から帰ります。 

あの夏の日、下関からフェリーでやって来てイミグレ抜けて、 
最初の交差点で振り返って、その時に決めた、自分との約束。 
日本に帰る時もこの道を行こうと。 
その時はどんな気持ちで、僕はこの道を辿るのだろうと。 

いつ帰るかも知れなかった旅は545日に及びました。 
どこまで行くかも知れなかった旅は、結局32カ国。 
学校、自転車、恋愛、巡礼、再会、出頭、演説、、、 
色々あったね、ほんと。 

本当はあの時、足がすくんでいた。 
正直、怖かった。 
どこまでも遠くまで行きたいとあんなに願っていたのに、 
いざ「どこに行くのもあなたの自由」と言われた途端、震えが来た。 
30キロのザック、折畳み自転車まで抱えて、どこに行けばいいのかも分からなかった。 
さっそく途方に暮れた、あの朝の釜山中央洞の交差点。 

あの朝の僕にアドバイスしたい。 
その交差点は「左」です、 
すると地下鉄駅があるからバスターミナルのあるノポドン駅を目指せと。
そこからソウルまで一本だから。 
そして何も怖がる事はないと。 
すばらしい旅行が君を待っている。 
信じられない奇蹟を数え切れないくらい起こして、 
まるで何かに導かれたように、君は旅を続けるよと。 
そう。 

12月28日夜18時、釜山発。 
明日の朝には、下関。 
546日ぶりの日本。 
うまく日本という国を頭に描けないけれど、 
人々がそれぞれの思いを持って、それぞれに毎日を生きているだけ。 
それなら同じ、きっと大丈夫だ。 

素敵な旅行を、本当にありがとう。 
何一つ後悔してません。 
こんな旅行を始めた事も、 
そして今日、それを終わらせる事も。