お母さんへ


突然、わたしから手紙をもらい、驚いたと思います。でも、どうしても伝えたいことがあってペンをとりました。

今までお母さんを傷つけたくなくて言えなかったことです。


わたしはお母さんの側にいると、息ができなくなり、見られてるだけで身体が固まり、声を

聴くと震えるようになりました。会う前後は眠れなくなるので睡眠導入剤を飲みます。


中学の頃から、必要なこと以外話をしなくなりました。ずっと昔のことだから、お母さんは

覚えていないかもしれないけど、「どうして話せないんだろう?」「どうして口を開けばきつ

くなってしまうのだろう?」「なんてわたしは親不孝なんだろう」と、いつも自分を責めて

いました。


この歳になってもそれは変わらず、ずっと苦しくて 5年前から心理学を学び始めました。


わたしは生まれたときから、大好きなお母さんがおばちゃんに虐められるのを毎日見ていました。

それは小さなわたしにはとても辛い毎日で、そんなお母さんが可哀そうで、わたしが幸せにしなければいけない。決して傷つけてはいけない。言うことをきかなければいけない。そんな風に思い育ちました。


だけど、お母さんは、大きくなるにつれ自我がでてきたわたしを尊重することなく、自分の期待どおりにしようとし、わたしの自由を奪っていきました。


さらに、人を傷付ける。言いかえすと、何倍にもなってかえってくる。いまでは、伝える気力がなくなり、会いたい気持ちもなくなり、いえ、会うことが恐怖になりました。


それから、お母さん、わたしは子供の頃、あなたと一緒に食事をした覚えがありません。

たわいもない話をして泣いたり笑ったりしたことも、家族三人でどこかに出掛けたことも記憶にありません。

あなたは、わたしより家事の方が大事ですよね。

わたしを見てくれず、わたしの気持ちを知ろうとしてくれませんでしたよね。

父親は受け止めてくれず、母親は見てくれず、いつもひとりで孤独で怖かった。


なのに、一人娘だから大事に育てられたはず、親の愛情を一身に受けてしあわせなはず、

と、わたしも回りの人も思っていました。


わたしと回りの人の「そんなことで?」「いろいろしてもらったのに親不孝」の言葉にずっと傷ついてきました。


父親にもいろんな思いがあったけど、伝えられなかった。勝ち負けにこだわり、世間体ばかり気にして、よそ様を大事にして家族を尊重しなかったよね。

私が怖い、悲しいと伝えても、大丈夫大丈夫と受け止めてくれなかった。


だから、私は勝たなくてはいけない、できなくてはいけない、笑われてはいけないと、常に他人の目を気にするようになった。


いつも、これでいいかな?合ってる?と人の思う正解を探していた。


何か問題が起きたら、誰も助けてくれない、一人でなんとかしなくてはいけないと思い、毎日がとても怖かった。


自己肯定感は低く、自分を認められず、夫も他人も認められず、欠乏感でいっぱいだった。


だから、結婚して子供たちが生まれて、子供ってこんなに大切な存在なんだとしあわせを感じたと同時に、ちゃんと育てなければいけない、いい子に育てなければいけない、しあわせになってもらわなくてはいけないと必死だった。

とても、生きづらかった。

そして、私も子供たちに同じことをしてしまった。


今まで、感情を感じると辛いので、感情に蓋をして生きてきました。

心理学を学んで、やっと、その蓋をとって、自分の思いを素直に表現できるようになり、この手紙を書いています。


お母さんがわたしの幸せを一番に考えてくれてるのは重々わかっています。

今までわたしのためにたくさんのことをしてくれて本当に感謝しています。

でも、わたしが欲しいのは、モノや心配やアドバイスではありません。

わたしを見張るのではなく尊重して欲しかった。

わたしの気持ちをわかって欲しかった。

普通の親子のように笑っていろんな話を聴いて欲しかった。

私もお母さんには幸せになってもらいたいと心から願っています。

そして、最後にわかりあえる関係になりたいと思っています。


そうなるまで、もう少し時間をください。



あなたの娘・純子より


この手紙を渡そうと思っていました。
パニックゾーンに行かなくちゃ変われない!
最後のラスボスに挑まなくては良くならない!
私の気持ちを言わなくてはわかってもらえない。勇気を持って挑もう!

でも、どうしても渡せなくてチビちゃん(心)に聞くと、
これを読んだラスボス(母)は、理解できないで傷つくだけで、私はまた罪悪感を感じるだけだよ。
と言いました。

渡せないね。