こんばんは、院長です。
まず最初に、このテーマは医療従事者、特に歯科医師向けに発信させていただきます。
一般の方向けには改めて同じテーマで書かせていただきますのでお時間があればご覧になってください。
患者さんが上顎の痛みを主訴として来院された時、XーRay診査等を行なってもさしたる病変が見つからなかったご経験はありませんか?
もちろん、咬合性外傷の可能性などももちろん考慮されるべきですが、咬耗や歯根膜の拡大像もなく、また消炎鎮痛剤の服用を試す、いわゆる「ドラッグチャレンジ」ですね。
これも無効であった・・・
それでも、患者さんご自身は強い痛みを訴える・・・
このような場合、偏頭痛の既往の有無を問診なさってください。
ここで、一つ注意すべき点は「偏頭痛の定義」です。
頭が痛い、左右で片側が痛い=偏頭痛と表現される方がいらっしゃいますが、これは少し守備範囲が広い定義と言えます。
確定診断を行なう際にポイントとなるのは「鎮痛剤が無効」である、という点です。
ボルタレン等の服用で痛みが軽減したとしても、よくよく問診をしてみると、2時間後以上、またはそれ以上たって、ようやく・・・ということをおっしゃるケースがありますが、まさにこの場合は鎮痛剤が奏効しているとは言えません。
単なる自然回復です。
偏頭痛には大きく分けて2種類存在します。
「群発型」と「緊張型」です。
「群発型」は男性に多く、また「緊張型」に比べると3%以下とも言われています。
しかし、この数字は実際には正確性はなく、専門医でない限り診断を下せないケースも多く、実数が出てこないという説もあります。
ここで、鑑別のポイントですが、「緊張型」の場合、頭痛の発現時に前兆を伴う点です。
視界が狭まったり、まぶしく感じたりする前兆があり、時間も季節も不定期に発作を起こします。
鎮痛剤の効果は若干あるものの、持続時間は短いモノが多く、逆に長い場合は痛みも軽いケースが多いのが特徴です。
一方、「群発型」はそもそもがレアな症例と言えますが、その特徴は非常に特異的です。
まず、発作の時期には季節性があります。
決まった時期、例えば春先だったり、秋口だったり、単純に季節の変わり目だったりです。
1ヶ月~数ヶ月続き、発現時間も大体同じです。
深夜から早朝にかけて起こるときが多く、数時間持続します。
その痛みは別名「自殺頭痛」と言われるほど激甚なものです。
発作の時間帯を過ぎると、ウソのように痛みが緩解し、何事もなかったかのように普通に振る舞えます。
少々、前置きが長くなりましたが、ここでなぜ歯科との関連があるのか?
この二つの頭痛で共通する点は「血管の拡張」です。
「群発型」の場合、三叉神経の第1枝である、眼神経のすぐ近位を走行する眼動脈が腫張し、触れることで誘発されます。
痛みは目の奥が押されるような感覚から始まり、同側のこめかみから後頭部にかけ、全体に広がります。
痛みの発現するのも決まった側位に限局されます。
発作時は左右の瞳孔の大きさに差違が生じますので鑑別のヒントになります。
また、涙目、鼻汁なども特徴になる場合もあります。
ここで、起こりえるのが同じ三叉神経の分枝である上顎神経への痛みの波及です。
そもそもが眼神経への誘発痛ですが、その電気的な信号は直接的なため、第1枝と第2枝の分岐部を介し、上顎に錯誤痛を起こします。
つまり、これを主訴として歯科を訪れる場合があるのです。
ここで、問診がとれた場合、鎮痛剤の頓服よりも血管収縮剤の処方がお勧めです。
トリプタン系などを選択し、ドラッグチャレンジさせ、著効を認めればまず確定してもよいでしょう。
個人差があるもののおよそ30分以内には効くはずです。
この際、処方箋の適用として「ブラキシズムによる偏頭痛」とレセプト上記載していただければ健保の対象になります。
現在は点鼻薬、カートリッジタイプの注射もあり、適宜選択が可能です。
また、「緊張型」の場合も血管収縮剤は有効ですので試行する価値はあります。
しかし、これらの薬剤は代謝が早いため予防には使用できません。
それについてはまた別の機会に書かせていただきます。