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▼寒かったが熱かった

 とにかく寒かった。真冬でも、ここまで寒い日はないんじゃないか。

 私の座っていたバックスタンドは、試合開始の午後三時半ころは、西陽がキツくて手でそれを避けつつ観戦したが、日が暮れた途端に一気に温度が下がって、座っているだけで震えてくる底冷えする状態になった。

 トイレも、ハーフタイムまで待てずに42分くらいに立って行ったら、もう列が出来ていた。こんなの、初めてだな。ハーフタイムの間は体を温めようと屈伸運動をしたら、ヒザが痛くなってしまった。

 まあ、それはそれとして、今日ぐらい「年間シート席を買っておいて良かった」と思わせてくれた試合はない。今年だけでなく、ここ2、3年の中でもベストゲームだな。

 寒かったが熱かった、が実感だ。

▼ライブは客が入らなきゃダメ

 最終戦で、しかもACL出場がかかっているだけあって、観客も5万人超え。久々に、あの2006年、2007年ころの埼スタの興奮が蘇ってきた。

 やっぱり、ライブは客が入らなきゃダメだな。お笑いライブやってても、どんなうまい芸人でもスカスカの観客席では力が入らない。

 相手が闘莉王もいるグランパス、っていうのもよかった。

 DFではなく、ずっと前線に張っている「点取り屋」闘莉王を見ながら、
「絶対にアイツだけには点を取らしてたまるか」
 とサポーターも思い、もちろん選手たちもそれ以上に思い、彼のところにボールが行くたびに、「決めさせてたまるか」の緊張感が高まる。また、それがそのままACLにつながるのだから、これほどモチベーションが上がる材料もない。

▼遂に現れた強烈キャラクター

 私は、ずっと、闘莉王がいなくなって以来、強烈なキャラクターの選手がいなくなって、そこが今のレッズの物足りない点だ、と感じ続けてきた。

 ようやくそれを訂正する時がやってきた。

 槙野か・・・。ここまでやってくれたんなら、もう「キャラクターが強い選手がいない」とはいえない。

 「神の手」かどうかわからないが、敵のシュートをジャストミートで体で止めて、弾丸シュートとしかいいようもないすさまじいゴールを決めて、それでもって、調子に乗ってユニフォームを脱いで振り回して。

 ちょうど野球の中畑にも通じる「単細胞で調子に乗りやすい体育系サークル顔」に、どうも「レッズっぽくないんじゃないか」と違和感を持っていたのだが、まあ、ここまでやってくれたら、その存在感を認めるしかない。というより、来年は、この「お調子モン」にレッズを引っ張って行ってもらわなきゃ困る。

 お笑いタレントで近い存在を考えるとしたら、ザキヤマかな。うるさいし、うっとうしいが、その勢いが番組全体を引っ張っていく意味で。

▼達也の雄姿を見たかった

 試合終了後にも御馳走が残っていた。

 田中達也の挨拶だ。

 さすがに大事な試合の中で、達也の出しどころは難しかったのはわかる。ただ、矢島を出したタイミングのあたりで、あれは達也でもいいんじゃないかな、とはチラッとは頭をよぎった。別に監督批判してるわけじゃない。来年のために、あそこで矢島出場がありなのはわかる。ただ、レッズでのリーグ戦最後の雄姿を、あのあたりで見たかったな。

 スタンドも、さらにもっと盛り上がって、2006年リーグ優勝時のマックスくらいに達したのではないだろうか。

 たぶん、そういう雰囲気が、天皇杯や来年のリーグ戦や、今後のことにつながっていく気がするのだが。

 終了後のセレモニーで、達也の挨拶もあるのかと待っていたら、代表の挨拶だけだったので、まず私はいったんトイレに行ってしまった。で、「11」「16」の達也とポポの背番号をみんなが背負っての行進が始まったころに、また戻ってきた。

▼爽やかにピッチの中を走り回ってほしい

 ケガが続いての不本意な日々を思いめぐらしつつ、涙ながらにサポーターへの感謝を語る彼の言葉を聞きつつ、バリバリのレギュラーとして活躍した頃ではなく、欠場や途中出場が多くなったここ2、3年の彼の姿が浮かんできた。

 一生懸命やっているのに、どこか集団の中に埋没してしまっているような焦燥感。MDPで確認したら、やはり今年はリーグ戦では無得点だったんだな。

 いろいろな意見もあろうが、私の考えとしては、彼にはJ1ではなく、来年J1に上がれそうなJ2チームに移籍して、ちょうど10年くらい前みたいに、気持ちよく、爽やかにピッチの中を走り回ってほしい。それで、そのチームを上に上げるのが、何だか彼のキャラクターには一番ふさわしそうな気がする。

 J1の真ん中へんのチームに入って、ゲームに出たり出なかったり、が、最も相応しくない。

 ホームでブザマな試合が続いたりもあって、十分に満足できる一年とはいえなかったにせよ、ま、年間シート席の料金分は楽しませてもらった。特に最終戦は、5試合分くらいの価値があった。




山中伊知郎  昭和29年生まれ。93年のJリーグ開幕時から、シーズンチケットでレッズを見続けている。職業はライター。昨年は『小説・コント55号』(竹書房)『30秒で誰とでも打ちとけられる会話術』(扶桑社文庫)などを出す。今年も5月には、ナイツやWコロンなどを生み出した漫才協会の「鬼軍曹」チャンス青木を描いた『ザ・浅草芸人 中二階の男 チャンス青木』を上梓。発行元は、自ら社長をつとめる「山中企画」だ。
7月に、『「心の病」は腸を診れば治る!?』を出し、増刷が決定。また8月にはぺりかん社から『探検! ものづくりと仕事人 マヨネーズ、ケチャップ、しょうゆ』なる本も出した。
11月には『元気になる毒蝮三太夫語録』もリリース。帯の推薦文は、何とあの当年とって101歳の現役医師・日野原重明だ。
「自費出版でない紙の本を出そう」という「紙の本プロジェクト」も推進していて、その第一弾として歯科医・籾山道弘の書いた『歯周病が歯医者で治らない理由』(愛育社)をプロデュース。この本も5月下旬に出た。
また、毎週水曜午後6時半から、ニコニコ動画で「山中企画ちゃんねる」という放送も流している。 
12月24日(月)には栃木・黒磯文化会館大ホールで『健康お笑いチャリティーライブ』(出演・テツandトモ、コウメ太夫ほか)を開催予定。

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