-腫瘍を切れば聴こえなくなる-
この日、脳神経科の先生に初めて診察してもらう。元々予約されていた担当医の方ではなく、院長先生が偶然にも対応してくれた。TVにも出るような大きな病院なのに院長先生自ら診察していることに驚いた。
院長先生からはこれまでの病歴について聞きとりがあり、その後、今日できる限りの検査を行うことになった。今日の時点では2つの検査を行った。
①聴覚検査(おなじみのピーとなったらボタンを押す試験)
②血液検査
恐らくだけど検査の目的としては聴覚検査は単にどの程度聴こえているか現状把握をされかったのだと思う。血液検査はMRI造影剤を注入するにあたり腎機能に異常がないかを事前に把握されたいようだった。
結果として僕の聴覚検査の結果は良好だった。院長先生も驚いていた。この腫瘍の大きさではもっと悪いはずとのことだった。でも日常生活の中では会話が聞こえないことは良くある。特に重低音が聞き取れない。一番苦手なのは複数の人が絡んで話すような会話だ。昨年まで営業現場にいた時は冗談を飛ばすようなテンポの速い、掛け合いなどが全く何をいっているかわからないこともしばしばあった。
それなのに検査の結果は良好だった。理由はわからないが一つは聴覚試験慣れしていることにあるのでないだろうか?検査ではいつどのようなタイミングで音がなるか大体わかっている。極めて集中して聞けている時には聞こえるが、日常生活ではそうはいかない。このあたりが試験と日常生活の感覚のGAPとして出ているのではないだろうか。
とにもかくにも先生からは今後の治療方針としては大きく3つあるといわれた。
①外科手術
②放射線治療
③経過観察
僕は知識不足のため、①ですぐに取ってもらえると思っていた。でも先生は、僕の聴力は予想以上に良いので勿体ないという趣旨のことを言われた。当初、意味があまりよくわからなかったのだが、「切ったら聴力を失いますよ」と言われた。また、顔面麻痺のリスクがあるとのことだった。僕は切れば治るものと思っていたので、認識が甘かった。妻も驚いたような顔をしていた。
なぜこのようなことになるかと言うと、聴神経には聴覚を司る神経(蝸牛神経)と平衡感覚を司る神経(前庭神経)があるそうだ。これらの神経のシュワン細胞から発生する腫瘍、神経鞘腫を聴神経腫瘍と総称しているため、当然この腫瘍を切れば神経自体も切ってしまうことになるのだそうだ。おまけに顔面の神経もすぐ近くを並走しているため、相当にリスクが高いということだそうだ。
ただ、事前にネットで見た情報ではこの聴神経腫瘍の手術は高度で難しいため、術者によって成績に差がでること。専門医が執刀することで聴覚機能の保存に成功している例もあると知った。放射線治療も含めて聴覚機能を保存できる選択肢がないかあきらめずに探していこうと思った。
とにかく、各種検査を受けて自分の腫瘍の状態がどうであるかを把握することが直近の対応となった。院長先生は院長権限を使って、予約一杯の日程に診察やら検査やらを強引にねじ込んでくれた。次回も担当するよといってくれた。家族全員お世話になっているこの病院には感謝しかない。
また、院長から次回に受けるMRI造影剤に関する説明があった。主におう吐などの副作用に関する説明の他に、83万に1人が死亡するという説明があった。今までなら気にも止めない。でも他の方もブログに書かれていたが、すでに10万人に1人の病気に掛かった身としてはこの数字はなんだかもう安心できない。
世の中のお父さんみんなそうだと思うけど、不思議と自分の命への関心よりももし死んだら、家族大丈夫かな~、専業主婦の妻と3人の子どもで生活していけるように保険は組み立てたはずだよな。。なんかそんな事ばかり考えてしまった。
切らなければ今の病状は改善しないし、ゆっくりとではあるが腫瘍は大きくなるし、合併症を引き起こす可能性もなくはない。でも切れば聴覚機能の喪失と画面麻痺のリスクがある。とても悩ましい。
1歳年下の小林麻央さんが先日、闘病の末に癌で亡くなった。そういう方からしてみると耳が聴こえるかで悩むなど本当に贅沢だと思う。そう思うと耳くらいという気がしてくる。しかも両方あるから、一つくらもういいいでしょ・・・35年間も頑張って働いてくれたし。
頭ではそう思っているけど、急なことで心はまだザワついている。
今後、ゆっくりと心構えをして、その上での可能性をこれから探していきたい。
■まとめ
聴神経腫瘍の治療方針について
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjshns/26/2/26_175/_pdf
ゴッドハンド(福島教授)の見解より
http://dr-fukushima.com/brain-disease/explanation_06