多部ちゃんは、本当にいい子で
一緒にいて楽しいって思う。
だけど………………
それだけ。
俺たちの関係は、付き合っているとは言っても
前とさほど代わりはなくて
俺は本当に彼女が好きなのかどうかも
わからなくなる。
「付き合ってみる?」
から始まった関係。
付き合っているうちに、
自然と好きになっていくのかな…………
中学最後の夏休みは
試合に練習にと明け暮れた。
そして、夏休みが終わったら引退して
受験勉強が始まるんだ。
打ち込むものがあるって…………
幸せだと思う。
余計なことを考えないですむから………
暑い毎日…………
たっぷり汗をかいて
疲れて寝る。
その繰り返し…………
潤のじいちゃんが亡くなってから
潤が東京に帰ってることは知っていた。
(ニノや雅紀が教えてくれるから。)
智がどうしてるのか気にはなるけど
聞いたところで
どうにもならない………
俺たちの関係は終わったんだ。
終わったと言うわりに
俺の心に大きな痼(しこり)があって
智の名前を聞くたびに
冷静でいられない自分がいる。
それでも、何度も何度も言い聞かす。
智と俺は…………終ったんだ………って
ニノや雅紀から、何度か遊びの誘いも受けたけど
用があるって言って断った。
「多部ちゃんとデート?」と、聞かれて
俺は笑って誤魔化した。
デートなんて…………
したことないのに……………
それで本当に付き合ってるって
言えるのだろうか………