嫌な夢を見た。
どんな夢だったか思い出せないけど
目覚めた今でも悲しくて苦しい………
時計を見るとまだ5時前
それでも夏の朝はもう始まっていた。
もう一度寝る気分でもない。
隣に目をやると翔くんが大の字になって眠ってる。
翔くんが隣にいる……
それだけでホッとする。
………翔くんの…………寝顔。
…クス……かわいい…………
起きてるときはイケメンだなって思うけど
寝てる姿は無防備で…………
ちょっとかわいい…………
…………睫毛………長い………
…………唇…………
この唇……………
たった一回だけキスしたことがある。
どんなだったっけ?
ぽってりとした唇……………
それをずーっと見ていたら
引き寄せられるように
無意識にそっと俺の唇を重ねてた。
…………バカな俺…………
俺のキスに起きる様子もない翔くん。
起こさないようにそっとベットから抜け出してリビングへ
お湯を沸かしてコーヒーを入れ
ソファーの下に座って
朝の情報番組を見てた。
随分、色々なことを覚えたと思う。
電車の乗り方もタクシーの停め方も。
お湯の沸かし方にお風呂の沸かし方。
カップ麺の作り方…………
ミネストローネの作り方………
どれもこれも翔くんのおかげだ。
これだけ出来れば………
一人になっても大丈夫だ…………と思う。
もう…………ソロソロ…………
翔くんを……………
解放してあげなきゃ………だよね。
翔くんにも翔くんの夢や将来があるんだから…
でも…………
もう少し……
それって
俺のわがままだよね。
ボーッと朝の情報番組を見ていたら
「今、横浜が熱い。」と紹介していた。
美味しそうな料理に面白そうなイベント。
なんだか面白そうな予感がする。
考えてみたら
日本に来てから
否、今までの人生のなかで
誰かと何処かに遊びに行ったり
観光したりなんてなかったかもしれない。
そう思うと無性に行きたくなってきた。
翔くんとの思い出を
ひとつでも多く作っておきたかったんだ。
翔くんを無理矢理叩き起こして
俺達は横浜にドライブする事になった。