翔くんが俺の話を聞いて
しばらく、俺の茶番に付き合ってくれるって
一緒にいてくれるって
言ってくれた。
うふふっ
翔くんの優しさにつけこんで
振り回してるのに
翔くんてば本当優しい。
ちょっとだけ心が軽くなって
俺は無意識に鼻唄を歌ってた。
見上げた綺麗な空には、もう母さんは浮かんでこない。
俺の鼻唄に合わせてハミングしてきた翔くんが
『……………これって…………
誰の曲だっけ?』
と、頭を捻る。
ヤバイ………
俺ってば、知らぬまに
昨年ヒットした俺のCMソングを口ずさんでた。
『え?
し、知らない。
俺…………ただ…
…な…何となく歌ってただけ……だから
誰か……なんて知らない。』
ヤバイ…………
翔くんもこの曲知ってたんだ。
でも、CMで聴いたことはあっても
まさか、誰が歌ってるかまでは知らないみたいでそれ以上追求はされなかった。
「ご飯を食べて帰ろうか」ってことになって
飯の話から、俺がカップメンを食べたことがないって話になり
それが不思議だったみたいだ。
俺の方からしたら、母さんが体に悪いからって言ってたものを
いつも食べてた事が不思議だった。
まあ、美味しかったんだけど……
母さんは、手料理を食卓に並べ
いつも二人っきりでたべた。
愛情一杯の美味しいものばかりだったけど
もう………
あの料理は食べれないんだなあ……
って思ったらまた悲しくなった。
俺が母さんの事を思い出したって事に気付いたのか
『ごめん。
思い出させた。』
と言って項垂れた翔くん。
翔くんが悪い訳じゃないのに
ふふ……変なの。
『翔くんってさ
本当に優しいよね。』
そこは翔くんが以前バイトしていたレストラン。
翔くんの大学の先輩が経営してると言う
ちょっと雰囲気のあるレストラン。
俺達を見て喜んで「結婚祝い」って言って
食事を奢ってくれた。
そこで突然
翔くんがここでまた働きたいって
オーナーに頼み込んでる。
なんで?
お金のことなら心配しないでって言ったのに
俺と一緒にいてくれるって
今約束したのに…………なんで?
俺が我が儘だから?
手が掛かるから?
俺また一人ボッチになるの?
…………………嫌だ。
イヤだ。
俺を一人にするな。
翔くんが働くなら俺も働く。
丁度、店の隅にはピアノがある。
俺の得意って言ったら、
これしかないから
俺はオーナーの許可を頂いてピアノを弾いて見せた。
ほら、俺だってちゃんと役に立つんだから。
それから俺達はそのレストランで働く事になった。
※随分、はしょってます。
その頃を知りたい人は「君笑30」辺りから読み返してみてね。