『………で、
お前の親は……………
…………どんな人』
翔くんが、今まで家族の面白エピソードを話してくれてたのに
今度は俺の番とばかりに聞いてきた。
俺の…………親………………。
俺の親…………
…母さんだけだ。
『俺の母さんは………………』
もう一度、空を見上げて思い浮かべる。
『………俺の…………母さんは……………
優しい人だった。
俺……………
母さんが大好きだった。』
「智…………
かわいい智。
母さんの大事な智…………
お野菜ちゃんと食べなさいね。
智はお野菜苦手なんだから……………クス」
って、また優しい声が聴こえてきて
母さんの綺麗な笑顔が青空に浮かんできた。
「……………大好きだった。」
と、言った俺の言葉が過去形なことを
勘のいい翔くんは気づいて
『………もしか……して…………
お母さん…………亡くなったの?』
と、言われてしまった。
俺は頷いて
涙が溢れてしまわないように
相変わらず外の景色を見ているふりをしながら
『………俺が……………
(俺がニューヨークになんかに行かなければ……
母さんが倒れることは無かったんだ。)
倒れたって聴いたとき
(母さんに会いたかった。)
会いに来たかったのに…………
(あいつは……)
許してもらえなかった。』
と、あの時の悲しみが襲ってきた。
『………許して……もらえない?
自分の母親に会わせてもらえなかったの?』
と、翔くんが不思議そうに尋ねる。
そうだよね。
不思議だよね。
『あいつは………
母さんが死んだことを
ずっと隠してたんだ。
誰にも知らせることなく
ひっそりと葬ったんだ。
誰にも看取られずに
たった一人で旅立たせたんだ。
俺は……………
あいつを許さない。』
口に出しているうちに怒りが込み上げ、
自然と下唇を噛んでいた。
『あいつ………って?』
『……………あいつは……………
俺の支配者だ。
あいつが俺を飼ってるんだ。』
『じゃあ………阿部さんって?』
『…………阿部は…………
あいつが俺に着けた見張り
子供の頃から俺の身の回りの世話をしてくれた
(物心がついた頃にはいつもそばにいたもんな。)
俺のボディーガード?
(的な?)』
『え?
ボディーガード?』