「あー…………
腹へった………」
お腹が"ぎゅうるん"ってまた鳴った。
「俺の飯ぐらい用意して行けよな。
明日の夜までなんて待てないじゃん。」
とぼとぼとキッチンに行き冷蔵庫を覗くと
そこには飲みかけのペットボトルと
得たいの知れない黒い物体。
「え?
黒いう×こ?」
"う×こ"が一番上の段の中央に鎮座している。
なんで?
まあ、人には色々な趣味趣向があるから………
深く考えることはやめよう。
翔くんにとっては大切なものなんだろ。
でも……………どう見ても…………う×こだ。
臭いが立ち込める前に冷蔵庫を閉じた。
冷蔵庫の上に
昨日のパッサパッサの食パンが4枚残ってる。
美味しいスープの箱も目に止まり
「これに浸して食べれば
なんとか食べれるか。」
って箱の裏の作り方をみると。
「なんだ。
簡単じゃん。」
なんだか俺でもできそう。
その前に………
お湯……沸かさなきゃ…………
待てよ。
そう言えば………
テーブルの置き手紙を見ると
「絶対!!」って書いてある。
絶対ってどれくらいだろ…………
絶対は絶対?
鍋に水を入れてコンロに乗せて
「昨日、彼がやったみたいに
ここを押せばいいんだよね。」
って、独り言を言いながら押してみた。
押してるのに火が着かない。
(なぜって、押してるつもりで触れてるだけだから。ー作者)
「なんで?
昨日はシュボッって火が着いたのに。」
(力が足りないんだよ。
箸より重いものは持たないし
なんせお坊っちゃまだから。ー作者)
何度も何度も押してるのに……………
火が着かない。
だから…………
"絶対"だったんだ。
途方に暮れる俺。
ぐ~っ……………
「お腹すいたよー。」
『助かった。
本当に死ぬかと思った。』
と俺は今、あのパッサパサのパンを
インスタントスープに浸して食べている。
俺がコンロを使えずに戸惑っているところに
丁度いいタイミングで阿部がやってきたのだ。
『引っ越し業者には、
朝のうちに入るように手配をしてありますから
智さんはこれに着替えて
少しお化粧もしておいた方がいいですよ。』
と、阿部が俺に渡してくれたのは
ピンクのワンピースとお化粧道具。
『なんで?
なんでこれ?
ってか、なんで引っ越し?』
『ここではセキュリテーに問題があります。
あなたは有名人なんですよ。
もともと智さんが帰ってきたら住めるようにと
お部屋も準備してあったんです。
そちらの方に移動してもらいますよ。』
『え?
だって……………翔くんは?』
『だから共々引っ越しするんです。
いいですか?
男性同士で同棲は、今の日本では認められてないんです。
私がどんなに言っても
智さんは、譲らないでしょ。
ってことは、こうするしかないじゃないですか。』
『う、うんん?』
なんだか、阿部の言ってる意味がわからないけど
その迫力に圧倒されてる。