阿部が持ってきてくれたお寿司を食べながら
親父の様子を聞いてみると
北村がうまいことやってくれたようで
阿部が俺を逃がしたことも
まだ気づかれていないことがわかった。
「あいつは俺を閉じ込めてることさえ
忘れてるんじゃないだろうか。」
なんて親なんだ!!
それでも俺の本当の親なのか疑ってしまう。
阿部が部屋を見回して
『こんなセキュリテーの甘いところじゃ
すぐ見つかりますよ。
俺が見つけられたぐらいですからね。
智さんは有名人なんですから
彼と一緒に暮らすならもう少し
自分の立場を考えてください。』
と言い
『だいたい…………
なんで俺から逃げたんですか?』
と、ため息をついた。
「だって…………
阿部にこれ以上は迷惑かけれないし………」
と、俺が黙っていると
『あっ………
そういうことでしたね。』
と、俺が言いたかった事をわかってくれた。
翔くんの分のお寿司を取っておいて
(っていうか、食べきれなくて残った。)
「もうそろそろ帰れよ。
もうすぐ翔くん帰ってくるからさ。」
って言ってる所に
玄関のドアがガチャって開いた。
それにすぐ反応して俺の前に立ちはだかった阿部。
"見つかった"って思ったのか俺を隠す。
『あっ。
翔くんおかえり。』
と、阿部の後から顔を覗かせ
「阿部がでかいから見えないじゃん。」
って思ってると
『はっ?
こいつ誰?』
と、阿部が言う。
『こら。
その言い方やめろよ。
俺を拾ってくれた人なんだから……………』
「あっ。"拾ってくれた"って言っちゃった。
"秘密の関係"って言ったのに
俺のバカ。」
焦って
『翔くんごめんね。
こいつすぐ帰すから……
ほら。
もう帰れよ。
俺がどこにいるかわかっただろ。』
と、阿部を押しやった。
『でも……………
こんな狭いところじゃ……………』
『狭かねーよ。
コンパクトで機能性も高くて
俺、気に入ったんだから
それに……………
狭いのはお前がデカ過ぎるからだろ。』
って、俺は目で「早く帰れ。」と合図する。
渋々阿部が
『じゃあ………帰るけど
また来るから。
それまで事を起こすなよ。』
と、俺に念を押すように出ていった。
なんだか翔くんがビクビクしながら
『あ、あいつ………………なにものなの?』
と言って、俺に近づいてきた。
「翔くん……………
ごめんね。
君を巻き込むことになるから…………」
何も言えず
『……………俺、
疲れたから寝るわ。』
と、ベットに横になって布団を頭から被った。
『おい。』
『あっ。
翔くん。
キッチンにお寿司あるから…………
(残り物だけどね。)
じゃあ…………おやすみ。』
俺は寝たふりをする。