はああ~
美味しかった。
生き返った…………
って、俺がカップをテーブルに置くと遠くから
『……う………………
……うそ……………だろ……………
…俺の…………………俺の……飯……』
と言って、男が近づいてきた。
空になったカップを覗きこんで、呆然としてる彼。
『ねえ。
これって美味しんだね。
はじめて食べた。』
………この人…………だれだ?
『…………欲を言えば、
もう少しネギを足して
七味もあればよかったんだけどね。』
あー…………わかった。
俺をおぶってくれた人だ………
じゃあ……ここは彼の部屋?
部屋の様子をうかがっていると
"バタン" と、俺の目の前で彼が倒れた。
『あれ?
どうしたの?
ねえ………きみ。』
と、彼を揺すってみたら白目を向いて
今にも消え入りそうな声で
『………はら…………へった~……』
と、今にも意識を無くしそうな状態。
さっきの俺がまさしくそんな状態だった。
そんな俺に、彼は自分のご飯を俺に譲ってくれたんだ。
『うっそ~………
………ごめんごめん。
俺が全部食べちゃったもんね。
他に食べるものないの?』
半分でも残してあげればよかったのに
全部食べちゃってごめんね。
俺ってばばか。
何かないかなって辺りを見回すと
『………ない…………。
食いもんも…………なければ………
金もない…………
お前なんて……………
拾わなければ…………よかった……。』
と言って目を閉じた。
『え?
金?
俺、金あるよ。』
金ならあるけど………
『え?』
俺の言葉に息を吹き替えしたのか
起き上がって俺を見るから
『ほら。』
と、布のバッグに入れておいたお金を見せた。
※この布のバッグは自分で初めて縫った鞄です。
お母さんに教えてもらって
初めてミシンを自分でかけて作ったもの。
みすぼらしいけど彼には思いでのある
大切な鞄なんですよ。