『クロワッサンとミネストローネ
クロワッサンとミネストローネ?』
俺は、忘れないように
繰り返し繰り返し呟きながら歩いた。
クロワッサンは近くのパン屋にあったけど
ミネストローネが見つからない。
そもそも、ミネストローネがわからない。
どこにいけばあるのやら………
「…はああ…………なんで………
俺が……こんなことしてるんだよ。」
大きな溜め息が出る。
『クロワッサンとミネストローネ
買ってきてよ。』
って、言われたのが1時間前になる。
『お腹すいたんだけど。』
って、言われても
あるのは賞味期限の切れたパンだけ。
焼けてないし、バターもジャムも付いてないから
不味いと口から吐き出しておいて
腹へったとは何事だ。
腹へってたら何でも美味しいはずだ。
"最高の調味料は空腹だ"って誰かが言ってたぞ。
なのにこいつは我儘言い出して
「翔くんの好きなのを買ってきていいから
俺に、クロワッサンとミネストローネ
買ってきて」
って、1万円くれた。
「お釣は要らないから。」
その言葉に
そう言えば、トイレのペーパーがなくなるんだった。
シャンプーも切れる寸前。
何回も水で薄めて使ってたから
もう、ほとんど泡立たない。
昨日、カップヌードルも全部食べたから
予備用意しなきゃ……
あっ。
そう言えば、パンツも傷んでいて
ケツの辺りが薄くなってるんだった。
歯ブラシも変えかえたかったんだ。
そうそう…
靴下が満足なのがなんもないんだった。
って、考えるとあれもこれも………と出てくる。
不本意を装いながら近くの商店街に…
惣菜屋さんで熱々のコロッケを買って
その場で頬張った。
「美味しい」
なんて美味しいんだ。
久しぶりに普通の人間の食べ物を食べた気分。
クロワッサンはすぐ見つかって
トイレットペーパー買って
ティッシュペーパー買って
シャンプー、歯みがき粉、歯ブラシに
パンツに靴下。
カップヌードルにレトルトカレー
ポンポン買っているうちに
手には持てないほどの袋をぶら下げ
お金はどんどん無くなって
本来の目的の品
ミネストローネが見つからない。
バカみたい。
たかがスープじゃねーか。
ポッカのインスタントスープでいいや。
と手にとって
「腹へった~」と待ってる
あいつの元に急いで帰った。