『やっぱり………
焼いてないし、バターも付いてないパンに
コーヒーもない朝食ってあり得ない。』
と、俺のパンを盗み取った奴が言う。
『勝手に食うんじゃないよ。
これでも、俺にしたら上等なんだよ。』
そうだよ。
朝は食べない……
いや、食べれない日が多いんだから……
(食いもんが無くて。)
腹を満たすことが出来ればそれでいい。
隣で焼いてもなく
バターもジャムも付いてないパンを
不味そうに口にいれているこいつは
いったいなにもんなんだよ。
布団の中で丸まって泣いてたり……
400万もの大金を
ポンと俺の前に差し出して
「あげるからここにおいて」って言ったり……
不安でしかねーだろ………
可愛い顔してるからて
そんないい客がついたって
こんなに儲かるもんか?
謎が多すぎるだろ。
触らぬ神になんとやら……
関わらないにこしたころはない。
『それ食ったら
マジで出ていけよな。』
『え~。
これいらないの?』
と、400万の山を指すこいつ。
日本銀行の帯が眩しいぜ。
そりゃあ………口から手が出るほど欲しいさ。
でも、それに手をだしたら
俺は暗黒の世界に身を投げることになるんだ。
もう二度と太陽の下を歩けなくなる。
『お前さ……………
どんなヤバイことしてきたの?』
『ヤバイこと?』
『だから、追われてるんだろ?
この金が原因なんじゃないの。
返して
命乞いしてこいよ。
悪いこと言わないから………』
俺の話が見えないのか
キョトンとした顔をして
それがちょっと可愛い………
なんて思ってしまう俺。
ばかばか………なに考えてるんだ俺。
『…………わかった。
わかったよ。
出ていくよ。
出ていけばいいんだろ。
出ていって…………
俺はあいつらにすぐ見つかるんだ。
そして、拷問の上に殺されて
バラバラにされて
東京湾に棄てられるんだ。
そして、俺は失踪したまま
社会から忘れ去られ
冷たい海のそこで
君を恨むんだ。
「あの時、俺をかくまってくれてさえいればって………」って………
君は悪夢に襲われて
俺を追い出したことを後で後悔するんだ。
その時には……もう遅いのに………ふふふっ』
と、凄く冷たい表情で俺に微笑んだ。
ぞぞぞ~っ…………
俺の背筋を蛇が伝い登り
首を締め付けるような感覚。
『はあああ~……………
わかった。
わかった……………から……
ただし、一週間。
一週間だけだからな。
いいな。』