『どうした?
元気ないな?』
俺が、数学の問題を解いてると
雑誌を見ながら興味なさげに先生が尋ねてきた。
俺は、顔を上げて
『そんなことないよ。
元気だよ。』
って、答えた。
『そうか?
なんだかやつれた感じがするけどな……』
『大丈夫だよ。
大体、先生が難しい問題ばっかり持ってくるからだよ。
学校の勉強もあるのにさ。』
と、答えた。
けど本当は眠れない日が続いていた。
あの声はなんなんだろう…………
誰かわからない声…………
(あいしてる。)って、言うあの声。
父ちゃんでも
翔くんでもない
知らない男の人の声。
あの声が、俺を縛り付けて放さない。
『……………「あいしてる」って…………』
と、ふと口から漏れてしまった。
『うん?
なに?
愛がどうした?』
と、先生が聞いてきた。
先生はいつも俺の言葉を逃さない。
『うんん。
なんでもない。
………独り言。』
と、俺が言うと問題集に集中する。
『………………………間違ってる。』
と先生に言われ
突然、(……間違った………自己愛……)って言葉が浮かんできて
思わず
『………間違ってない。』
って、声をあらげた。
先生はビックリして
『なんだよ。
急に怒り出して…………
ここ、間違ってるって。』
と言って、
問題集の5問目を指した。
『あっ………。』
俺が消ゴムで答えを消してると
『お前、なんかおかしいぞ?
ちゃんと、眠れてるのか?』
と聞かれて
『元気だって、
ちゃんと寝てるし……
ちゃんと………食べてるし……』
と、言う言葉に
『うそだね。』
そう言ってため息を着いた。
『お前とおんなじこと言う奴を知ってる。』
と、先生が話し出した。